第212話
まずはエリックだ…。
「…元気そうだな?」
エリックは港で船を修復していたとのことだった。
「ああ…。エリックも無事でよかったよ…。ところで、このドワーフ達は…」
僕は何百人もいるドワーフ達を見つめた。彼らは船に荷物を積んでいた。
「ああ…。戦艦にいた奴らだ…。悪いけど、一旦こいつらと一緒に帰ることにする…。色々と話し合わなくちゃいけないことができたからな…」
「そうか…」
「まっ…。なにかあったらすぐ呼んでくれ! じゃあな!」
エリックは右手をあげながら、船に乗りこんだ。
「アリス、次に近いとこにいるのは?」
「うーん…。ノスクかしらね…」
「そっか…」
僕はアリスに案内してもらい、ノスクに会いに行った。
「アッ、アル、たすけてぇ!」
ノスクは鼻水をたらしながら僕にしがみついていた。
「どっ、どうしたんだ!?」
「ウッ、ウィンディーネがものすごい怒ってるんだ! 邪心を清めてやるとかいって!」
「じゃっ、邪心!?」
「そうなんだよ! ちょっとエッチなお店にいっただけなのに! …って、きたー!」
ノスクはウィンディーネを見るなり、どこかに消えてしまった。
「待ちなさい、ノスク! …って、あれ? あんた、起きたのね?」
「ああ…。ウィンディーネ…。ほどほどにしてやれよ…。ノスクも少しぐらい羽を休める時間が…」
「あの子、貴方の快気祝いだとかいって、一晩で百万ギルも使ったのよ…」
「……」
僕は擁護するのをやめることにした。
「じゃっ、いくわね! 待ちなさいー!」
「……」
百万ギルって、なにしたら消えるんだろう…。っていうか、目覚めたのさっきなんだけどな…。まぁ…回復はしてたんだろうけど…。
次に会ったのはシャルとルアと神様だった。城の中でお菓子を山程食べていた。
「起きたのですね…。回復魔法をゴリゴリにかけたので目覚めるのも時間の問題だと思ってしましたが…。無事で、ごっふ…。なによりでふ…」
神様は口の周りにクリームをつけながら、僕に話しかけてきた。
「食べるか、しゃべるか、どっちかにしろよ…」
神様はペロリと口の周りをなめた。
「ごっほん…。本来なら私は食べる必要もありませんが、回復魔法を使いすぎたせいでエネルギー補給が必要になったのです…。誰のせいだと思いますか?」
「かっ、感謝はしてるよ…。ありがとう…」
「わかればいいです。あっ! ところでみてください! この子!」
神様はルアの体を引っ張った。
「なっ、なにすんだよ!?」
「…かわいいでしょ?」
「…ああ」
「十年後…。いえ、二十年後が楽しみですよね」
「…なにがいいたい?」
「私の歴史に一ページ加わったということです」
「……」
僕はツッコむのをやめて、シャルに話しかけた。
「シャルも助かったよ…。ありがとな…」
「ううん…。私は結局なにもできなかったよ…。足手まといばっかりで…」
「いや、そんなことない。シャルがいなかったらこの作戦は失敗していたよ。本当にありがとう…」
「ううん。それならよかったよ」
「それにな…。足手まといっていうのは…」
僕は神様の方をジッとみた。
「…なぜ、その話題から私をみるのですか?」
「…俺の歴史にも一ページ加わったと事を報告しておくよ」
「ほう…。つまり、それは美少女的な…。ちょっ、ちょっと、私を無視してどこにいくんですか!?」
僕は部屋をでて、城の屋上にいるシオンさんに会いに行くことにしたが、神様はそのままついてきて、なぜか僕の頭に乗っかっていた。アリスはそれを見ながら笑っていた。
「重いんだけど…」
「では、軽くしましょう」
神様がそう言うと確かに段々と軽くなっていった。
「はぁ…。そういうことじゃ…。…このへんかな? あっ、いたいた…。シオンさーん」
「…ん? アル、目覚めたのか…。よかった…」
「シオンさんも無事でよかったよ」
「……」
シオンさんは黙ったまま僕の方を見ていた。
「…もしかして、ゼロのこと?」
「…いや、それは解決した」
「えっ!? 解決したの!?」
シオンさんの言葉に僕は驚いた。
「ああ…。一応な…。まっ…本当だったら争う事になっていたかもしれないけどね…。結局、私達は勝てなかったっていうことさ…。一人の人間にな…」
「……」
一人の人間…。そんなに強い人間がいたのか…。…誰だ?
「そんなことよりも、アル…」
「…どうしたの?」
「…なにか…違和感を感じないか?」
違和感といわれても…さっき起きたばかりだし…。
「別になにもないと思うけど…。うーん…。戦いの連続だったから、緊張がとけてないのかもしれないね…」
「そうかな…。そうかもな…」
シオンさんはなにか考え込んでいるようだった。
「なにか気になることでも…」
「いや、別にそういうのじゃないんだ。アルの言う通り、きっとそうなんだろう…。そういえば、ユキって子が君に話があるとかいってたな…」
「…ユキが?」
なんだろう…。
「ああ…。まぁ、君が倒れてるって知らなかったみたいなんだけど…。あれ…。そういえば、どこで聞いたんだったかな…。まぁ、暇だったらいってみてあげてくれ」
「うん、わかったよ」
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