第16話 手紙~1ページ目~
拝啓 織原つみき様
この手紙を読んでるって事は、俺はもうこの世にいないかもしれません。
嘘です。自殺は絶対にしないので、きっと警察のお世話になってる事でしょう。
もしかしたら何事も無くて、つみきは普通にこの手紙を君の家で読んでるかもしれない。
そうなったらちょっと恥ずかしいな。
まぁその可能性は低いし、俺は逮捕されたものとして書いていく。
でも悲観する事は無いよ。
俺は君に家出を提案した時から、こうなる事を予想してた。
だって当たり前だろ?無職男が女子中学生を匿ったんだから。
その罪はしっかり償わないとだからね。
何故手紙に残すのかって?
手書きの手紙ってロマンチックだろ。
ってのは半分冗談。
まず、言いにくい事。
それと、口頭だけじゃ覚えられない事。
あとは、俺の気持ちを書いておきたかったからかな。
でだ、いくつか言っておかないといけない事がある。
まず、君に黙ってた事が一つ。
君を助けようと思ったのは、実は従兄弟に言われたからなんだ。
歳の離れた従兄弟でね、君と同じ学校、同じクラスにいる。
小さい頃から俺をお兄ちゃんと呼んで慕ってくれてた。
今でも仲が良いんだ。
拓実っていうんだけど、知らないかもしれない。
大人しい子だからね。
拓実も小学生の頃、イジメられてた。
だからイジメをしてる奴らが許せなかったんだと思う。
泣きながら電話してきたよ。
クラスで酷いイジメに遭ってる子を助けて欲しいって。
好きとか、そんなんじゃなくて純粋に助けたいんだって。
でも僕には何か出来る力が無い、お兄ちゃん助けてって。
他力本願なヤツだって思わないでくれるとありがたい。
拓実もそいつらのイジメに怯えていたんだ。
いつ誰が標的になるか分からないからね。
それで俺は、拓実に君のフォースブックIDを調べさせた。
君が裏切られたと思っている例の友達に頼み込んだらしい。
最初は、絶対にIDは教えないと断られ続けた。
どうせイジメに使うんだろって。
これ以上つみきの居場所を奪わないでって。
その女の子も標的になるのが怖かっただけで、つみきの事を心配してたんだね。
裏切った事を許してやれとは言わない。
でも、少しでも君の気が軽くなればいいな。
そういう事があって、信じてもらうのに時間が掛かったと拓実は嘆いていたよ。
やっと教えて貰い、俺は君のフォースブックIDを知る事になった。
そして俺は小説レヴューアカウントを作って君のフォロワーになり、君の書き込みに返信した。
こんな手紙で言うのもなんだけど、黙っててごめん。
もし嫌いになったら、今すぐ読むのを止めて破って捨ててほしい。
……。
捨てて無いかな?ありがとう。
では二ページ目で再開しよう。
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