第74話 どうぞどうぞ
このごろ旅行する夢が多い気がする。
ただ現実の旅行と違って、なんの脈絡もなく知らない場所を行き来しているのを一つのまとまった出来事として捉えようとすると、旅行と呼ぶのが近いだけのように思う。
私たちは古い旅館に泊まることにした。
小さな旅館で、私たちが属する団体だけで一杯だ。
部屋割りを決める話し合いをしていると、
「ここ出るって噂だよ」
「誰か一人部屋に行ってくれないかな」
混ぜるな危険、という感じの二つの情報がいっぺんに来た。
「一人部屋ってどこよ?」
「あの通路の奥」
「ここからでは見えないね」
年配の女性がこちらを見た。
「あなた旅慣れてるし……」
「いや、そんなことないです」
「大丈夫よね?」
「いや、そんな……」
目が覚めた。
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