第75話 ハイレベルな新参者
久しぶりに夢を見た。
何故か3本立てである。
最初の夢では、知り合いのAさんにバッタリ会った。何かのイベントが開催されている広場を通りかかったところだ。
私たちのすぐ傍にどこかの劇団のトラックが停まっている。そういえばAさんは演劇が好きだった。
しかしこの時は私たちのどちらも予定がなく、一緒にお茶でも、ということになった。
私「何にしましょうか。アイスとか……」
A「ごめんなさい、私アイス苦手なの」
私は無類のアイスクリーム好きだし、夏らしい甘味の定番であるアイスを例として挙げたが、じつはこの時はアイスという気分ではなかった。
だからAさんが自分からアイスを断ってくれてむしろホッとした。
そこで場面が切り替わり、お茶の話は立ち消えとなった。
なお、現実のAさんはべつにアイスを苦手ではない。
次の夢では、公衆トイレを使った後で手を洗おうとしていた。
ふつうのトイレと思っていたが、何故か手を洗えるところが掃除用の深いシンクしか無い。しかも池みたいな緑色の水が半分くらい溜まっていて気持ち悪い。
しかし蛇口をひねると水道水は出るので、そこで手を洗うことにした。
水の流れに反応したのか、魚が水面に姿を現した。私は少し嬉しくなった。
手を洗っているうちに、いろんな魚が水面いっぱいに代わる代わる出てくるので、怖くなってきて水を止めた。
この日最後の夢が今回の表題作だ。
私は夢の中でスマホRPGをしていた。
少年が主人公で、相棒の女の子が解説役だ。ストーリーはまだ序盤。
どういう経緯か忘れたが、有難いことに仲間になってくれようとする男性キャラクターが登場した。
しかも主人公側は二人ともレベル一桁だが、3人目候補はレベル85!
しかし、相棒女子から嬉しくない知らせ。
「課金すれば彼はレベル85で加入してくれる。その反対に、無料ではレベル1から育てないといけないの」
画面には二つの選択肢が表示され、どちらか選ばなくてはストーリーの続きを見ることは出来ない。すなわち。
「課金して仲間に加える(LV85)」
「無料で仲間に加える(LV1)」
どーいう集金システムだよ!
いや、そこはビジネスの自由としても。
相棒に言わせる形で説明することかッ!!
ぐぬぬ……と歯噛みしながらも、続きが見たい、それも味方が強いほうがスムーズに先へ行ける……と課金しようとした。
しかし決済画面がどうもおかしい。
支払い金額の確認は? 支払い方法は?
スマホ使用料にまとめたとか?
何だかよく分からないうちにLV85のキャラ購入が済んだことになっていた。
このキャラのおかげで道中の戦闘は早く済み、どんどん進める。はい、タイトル回収!
しかし、私は何かとんでもないことに引っ掛けられたのでは? と不安になってきた。
目が覚めたときは、現実にはあのキャラに課金していないという事実にホッとした。
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