第73話 どちらもメチャ混み

 グループで移動中。

 観光地か商店街か、レトロな喫茶店の並ぶ通りを過ぎたら少し静かな通りに来た。

 小さな会社兼代表者宅みたいな建物がある。裏口らしき扉が開いていて、机の上にも下にも乱雑に置かれた書類や郵便物の束が見える。

 こんな部屋で仕事になるのか? もしや空き家では? と不思議に思った。


 もっと行くと私たちの滞在する、ビジネスホテルのような建物に着いた。

 部屋に荷物を置き、このあたりの観光名所である公園に行こうということになった。

 その公園のなかでも中心部にある庭園が良いらしい。この小旅行の目的地だ。


 部屋を出る前に、仲間の1人が

「なんか公園の何処かでアニメのイベントがあるとかで、東入口から会場までそれのファンで一杯だよ」

と皆に知らせてくれた。


 私たちの誰もそのアニメに興味がなかったので、もう一つの出入り口である西入口から公園に入ることに決めて、部屋を出た。


 西入口からの遊歩道も混雑を避けたつもりの人々で一杯だった。


 私は自分が裸なのに気づいた。性的な意味はなく「うっかりアバターに装備品をつける前にホームから出てしまった」という感覚だった。

 急いで宿泊先の部屋を目指して走ろうとした。


 目が覚めた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る