今年の紅白歌合戦で話題をかっさらっていった,昭和の大スターのAI。国民的人気の大人物だったとはいえ,死者の人格を模倣することが倫理的に赦されるのか…と議論を呼んだのは記憶に新しいですね。
この物語はそんなタイムリーなテーマに対して喜劇的に,けれども鋭く問題提起してくる作品です。
主人公は再現された大スターのAI人格。
模倣人格に自意識があったとしたら,それはプログラムによってのみ決定されるのか?あるいはその器となる,紛い物の身体にも影響を受けるのか?
作者様の別作「わたし・' わたし '・" わたし "」と同様,「自分」という感覚の不思議さをじっくり考え直させてくれました。