第5話
2週間ぶりに、病院で目を覚ました。
今日は、目を覚ましたときには傍らに愛玖くんがいた。
「無茶、しすぎ。ばか」
「…うん、ごめんね」
走った。それはそれはもう、全力疾走。
食べたもの全部戻しちゃうんじゃないかってくらいに咳き込んで、そこで記憶が途切れてるから多分、倒れたんだと思う。
「今回は本当に、死んじゃうかと思った」
「うん。私も、死ぬんだと思ってた」
沈黙になった。
チラリと視界に愛玖くんを入れると、愛玖くんはなんとも言えない顔をしていた。
「…寧伊はさ」
「…うん」
「………俺の前から、居なくなる気かな」
「…どうだろうね、分かんない」
「…俺のこと好き、なんだよね」
「…好きだよ」
重い、雰囲気。
愛玖くんは、私を好きで居てくれてる。
こんな私を、心の底から。
私も、愛玖くんのこと、心の底から好き…だけど。
私には手を伸ばしても、掴めない、人がいるから。
私は愛玖くんとは生きられない。
生きていけない。生きることを、やめた。
私は、死ぬことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます