第5話

2週間ぶりに、病院で目を覚ました。

今日は、目を覚ましたときには傍らに愛玖くんがいた。


「無茶、しすぎ。ばか」

「…うん、ごめんね」


走った。それはそれはもう、全力疾走。

食べたもの全部戻しちゃうんじゃないかってくらいに咳き込んで、そこで記憶が途切れてるから多分、倒れたんだと思う。


「今回は本当に、死んじゃうかと思った」

「うん。私も、死ぬんだと思ってた」


沈黙になった。

チラリと視界に愛玖くんを入れると、愛玖くんはなんとも言えない顔をしていた。


「…寧伊はさ」

「…うん」

「………俺の前から、居なくなる気かな」

「…どうだろうね、分かんない」

「…俺のこと好き、なんだよね」

「…好きだよ」


重い、雰囲気。

愛玖くんは、私を好きで居てくれてる。

こんな私を、心の底から。

私も、愛玖くんのこと、心の底から好き…だけど。

私には手を伸ばしても、掴めない、人がいるから。


私は愛玖くんとは生きられない。

生きていけない。生きることを、やめた。


私は、死ぬことにした。

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