召喚失敗勇者と側仕え達
「こちらの部屋をお使いください」
国王様達と別れた後、ウマゴ――じゃなくてシュナイダーさんと呼ばれたれた執事の人が部屋へ案内してくれた。
この部屋もそこそこ豪華ではあるんだけど、さっきの部屋との格差がありこんなものかと一瞬考えてしまった。
しかし、この部屋自体はテレビで見たどこかの高級ホテルのような様相をしていて、居心地自体は悪くなさそう――って言うと思った?
居心地いわけないじゃない! 何この部屋の広さ! 元世界の家のリビングより広いし、ベットも天蓋だっけ? お姫様とかが使うようなものも付いているし!
しかも高そうな壺とか絵画のようなものまで飾られているから、これは何かなって触ることもできそうにない!
とりあえず、特に危ないものがなさそうなソファーへと腰をかけると、シュナイダーさんが側仕えの人たちを紹介してくれるけど――なんか人数多くない?
私の前に並んでいるのは、多分二十代前半から十代半ば位までの男女十名がとても綺麗な顔――顔がみんな美形過ぎて嫌味な感じがする――綺麗な立ち振る舞いで一人一人挨拶をして来てくる。
男性最年長から順に、金髪!青眼!高身長! そしてハイパーイケメン男性で渾名はパーラー君。
茶髪で身長そこそこだけど、見た目が日本人とのハーフっぽい少しおとなしそうな印象のヴィン君。
黒髪のちょっとホストっぽい印象がするビュー君。
今度は金髪の少しヤンチャそうな顔立ちのベル君。
最後に赤髪で身長も私と同じくらいの可愛らしい感じのアイ君は。
相変わらずここの人たちの名前は覚えにくくて仕方がないから、渾名をつけて呼ぶ事に決めた。
だってアイ君の本名とか、クリストフ=アイヒホルンでアイヒホルン君とか呼びにくいじゃない? ってゆうか舌を噛みそうだから呼びたくない!
因みに全員苗字があるみたいなんだけど、こう言った世界だと苗字があるのは貴族とかそう言った人たちだけだったと思うからみんな貴族なのかな?
それで女の子達は、綺麗系金髪お姉様のハンナさん。
体型は服装でわからないけど、モデル体型っぽい雰囲気のクラウディアさん。
目付きが悪役令状っぽいキツ目な感じのリリアンさん。
側仕えなのに金髪縦ロールにしている、お嬢様っぽいクロエさん。
そして最後に、日本人顔だけど美少女のアイリスちゃん。
え、なに?アイリスちゃん以外なんでさん付けなのかって? だって年上の同性の方を呼び捨てにすると後が怖いからに決まってるじゃないの!
アイリスちゃんだけは私と同い年だからちゃん付けて呼ぶ事にした。
――結局は皆呼び捨てか君ちゃん付けで呼ぶ事になったけど、初めさん付けで呼んだおかげかお姉様方から不興を買うことは無かったみたい? でも一番仲良くなれたのは……この後の事があってからだったけどね。
取り合えず自己紹介が終わった後、王様に確認していたところの使用許可を貰い女性達一緒にある所へ向かった……そこは――
「はぁー。やっぱりお風呂ってサイコー! 」
普通の戦闘の倍ほどの広さの浴場だよ! いやー、やっぱりお風呂は大事でしょ?
晩餐会があるからしばらくしたら着替えるって言われたんだけど、元居た世界は夏だったし色々と緊張したせいで汗もかいてたから入りたかったんだよね。
初代の王様が日本人だっていうし、王様たちも日本人の血が入っているっていうからあるとは思っていたんだけど――流石にこの豪華さはびっくりだったわ。
まあ、広さは広いだろうと思っていたからいいんだけど、この広さの風呂にこれだけ大量のお湯を注ぐなんてこの世界ではかなりの労力がいるんじゃないかな?
でもそのおかげで、私達がお風呂に入れるんだから文句を言ったら仕方ないわよね。
「みんな付き合わせちゃってごめんなさいね」
「とんでもございません。しかしよろしかったのですか? このようなものを私共も頂いてしまって? 」
「こちらの世界では同じものは手に入れることは出来ないとは思うんだけど、やっぱり私たちは女性同士ですからね」
私が側仕えの皆に渡したのはこの世界の者とは一線を画す――元の世界のお風呂セットよ!
まあ、ハンナさんの言う事ももっともだけど、私が召喚される時に友達と遊びに行ってそのままお泊りする予定だったから、自分の好きなシャンプーやコンディショナー、それにボディーソープなどの新品のお泊りセットをバックに詰め込んでいた。
そのおかげで、新品のボトルがまるまるあるんだからそれを活用してみんなと仲良くしようと考えたのだ。
この世界では、一般の平民の人達は手ぬぐいの様な物で体を拭うか行水するくらいしかせず、貴族の人達でようやく石鹸を使って体を洗うそうだけど……全身を石鹸で洗っているみたいなんだよね。
お風呂に行く途中にそれを聞いた私はピンと来たんですよ! これを使えば女性陣全てを取り込むことが出来るのではないかと!
「それにしてもアカリ様がお持ちになっている、シャンプー?とコンディショナー?ですが、素晴らしいですわ! 恐らくですが、王妃様や王女様方ですがこのような物はお使いではないと思います」
「そうでしょうそうでしょう! でもみんな――この事は秘密よ。もし他の人にばれたら直ぐになくなっちゃいますからね」
「わかりましたわアカリ様。みんな、ここだけの秘密にしなさいね」
ハンナさんの言葉に、全員力強く頷いていた。
やっぱりすべての女性の美に対するパワーは凄まじい! まあ、もし私が逆の立場でも同じことになるんだろうけど。
「でも、もし何か疑われたり危なそうだったら、私から秘薬を貰ったって事にしておいて。流石にこれほどの効果はないけど、今の物よりはいい物の作りか私ってるか――ら? 」
「「「「アカリ様! これの作り方をご存じなのですか! 」」」」
女性陣全員――じゃなくて、アイリスちゃん以外のみんなから物凄い勢いで詰め寄られた。
「どうやってお作りになるんですか! 」
「もしよろしければご教授頂きたいのですが! もちろん対価はお支払いいたしますわ!」
「何が必要なのですか! 必要な物があるのであれば私の知り合いの商会から何でも取り寄せますわ! 」
「アカリ様! お金も材料もすべて出すので、販売権もすべて私の家に売ってください! 」
「「「あなた世界中の女性を敵にしたいの!?」」」
「あ、あははは……とりあえずはみんなの分はまだあるんだから、そんなに気にしないで大丈夫よ。それに、無くなっても私が困るからその時は作り方を教えるから――
ね? 」
この場はとりあえず逃げ出せたけど――ええっと、どうやって作るんだっけ? 液体石鹸にココナッツオイル入れるだけでもいいんだっけ? でもココナッツなんてこんな異世界にあるのかな? 他には――そうだ蜂蜜だ! 比率とかはよくわからないけど、確か蜂蜜入れるだけでもかなり良くなったはず!
あ、でも香りとかは香油が必要だったはずだからどうしよう……何か方法があった気もするけどわからないからとりあえずはいっか!
それにしてもアイリスちゃんだけさっきの話題に入ってこなかったけど――やっぱり私と一緒で若いからね!
そんなドタバタがあったけど、皆とはかなり仲良くなれ部屋に戻ってからも仲良く話しているし、お風呂から戻って来た女性陣の髪がみんなツヤツヤのサラサラで、全員からシャンプーなどの匂いがしているものだから皆の男性陣が物凄く不思議がっていたのがとても面白かった。
幼さからか、それとも他の男性陣に言わされたのかわからないけど、アイ君が「皆さんとても美しくなられて、それにとてもいい香りがします」と言って、女性陣から頭を撫でられたりお褒めの言葉を頂いていた。
その後、晩餐会の支度の為に着替えをしようとした際にも、みんなと楽しく会話しながら支度をすることが出来たし、色々と情報も聞けたのでいいこと尽くめだった。
――やはり、女性の美に対する欲望は世界が違っても一緒なのね。
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