第3話
…片思い、してるのかな…
失礼だとは思いつつ、書きかけの楽譜を手に取る。月明かりに照らされた創くんのねがおと楽譜を見比べながら、切ない歌詞が胸を突く。
創くんの髪を漉き撫でながらふとそんな言葉が思い浮かんだ。
「…ん、……盛山さん?」
「あ、起きた…?ごめんね、すぐ帰るね」
創くんが身体を起こす。創くんの秘密を知ってしまったようでバツが悪く慌てて帰ろうと立ち上がると腕を掴まれた。
「……なんで泣いてんの」
「え…?」
自分でも驚いてしまった。気付いたら涙が溢れていたのだ。あの切ない歌詞が自分と重なったのかも知れない。
慌てて涙を拭おうとして、顔をあげると唇に温かいぬくもりが触れた。
キス?
よくわからないうちにベッドへと組敷かれる。
「メンバーの性欲処理もマネージャーの仕事だったりする?」
…そんなものは業務の内容に入っていない。
「…はな、」
離してと言おうとして、創くんの掴む手が震えている事に気づく。
あの切ない歌詞のその奥に創くんの想いが詰まっている。好きな人に、伸ばしたくても伸ばせないその腕は宙ぶらりんのまま。
儚く消えてしまいそうだと、自分と少し重ねてしまった。
ゆっくりと、創くんの首筋に両腕を回す。そのまま引き寄せてキスをした。
若い欲望は火が灯るととどまる事を知らない。
夢中で身体を慾る創くんに一瞬で煽られる。
熱く吐き出す吐息もすぐに塞がれる。
何度も身体をなぞる指先に、舌に、息が上がる。
そして、創くんが身体の中へと這入ってくる痛みに身体が痲れる。
痛みは徐々に鈍く、快感へと変わっていく。
自分の身体が作り変えられて行くような感覚と齎される快感が快楽へと変わる時、理性を手放した。
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