第5話

「快晴なんだね、この日」

「天気までは残りませんからね、記録には・・・」

「そうなんだって・・・太、その格好?」

「どうかしましたか?」


何が不満なのかと、訊きたいばかりの表情を浮かべる。


「どうかって・・・どうして、侍?」

「人をかくすには、人のなか。侍をかくすには、侍の中です」

「危なくない?」

「平気です。命の危険はありません」


じゃあ、なんで私が町娘?


「お母さん、行きましょうか?」

「だから、私はまだ・・・」

「まだ・・・何です?」

「いえ・・・いい」


やめておいた。


「この場所・・・」

「どうかしました?」

「あれが、本能寺?なんか、違うような・・・」

「お母さんの時代もそうですが、歴史の常識はころころ変わります。僕の時代では、これが常識です」

「じゃあ、君の時代から何年かして、常識が変われば・・・」

「当然、変わるでしょうね」


アバウトな・・・


やはり、ドッキリか、何かじゃないの?


「信長が光秀に謀反を起こされて自殺するんだけど・・」

「お母さんの時代は、そうですね」

「太の時代は違うの?」

「ええ。少し違います」


少しというのが、気になる。

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