ずっと…… 19


……ぇ…?



ぅ…嘘…!?



オレは身体を捻って背後を確認すると…、


起きてる !!?



「ね…寝てたんじゃないの?!」


「愛の顔見たら、抑えが効かなくなりそうだから、目ぇ瞑ってただけ」



ぅ…っ…だ…騙された!!



「で…もう一度訊くけど、いいのか?」



ブルーグレーの瞳に射抜かれるようで、

変にドキドキしてしまう。



「……うん…いいよ。ぁ…で…でも…藍、明日早いから…」


「……そうだな」



……ぇ…?



「愛も、今日は疲れたろ?」


「……うん。…そうだね…なんか…ごめんね…」



何、がっかりしてるの?いつもの事じゃん。


藍は、いつもこうやって、オレの身体の事を真っ先に考えてくれてたじゃん。



「おやすみなさい」



オレが再び背中を向けようと身体を捻っ

た時、藍の身体が小刻みに揺れだした。


ん?何?藍を見上げると…


わっ…笑ってる!?


 

「ひ…酷い! 何笑ってるんだよ。オレ…」


今のほんの数秒間で、どれだけ悩んだか…!



「悪ィ。愛が断るから、つい…意地悪した」



……え?


「こんな時まで、オレに気ぃ遣うなんてな。いい加減、自分の気持ちに素直になろうぜ」


「な?」と、耳許で囁くと、藍は、互いの気持ちを確認するように、触れるだけのキスをした。



……そうだね。もう2人を阻むものなんて何も無いのに、何を躊躇してたんだろ。



オレは、口を開き藍を受け入れた。



感情の高まりに比例するように、徐々に徐々に深まっていく口づけ…


解放してくれた頃には、息も上がっていて…思考も蕩けていて……もう…彼が触れる全てが快楽に繋がっていた。


まるで、硝子細工に触れるようにオレを扱う指先に、擽ったさを感じる。



「……藍…オレ…もう…」


「…まだだ」


「……だってもう…オレ…」 


「……思いっきり優しくしてぇんだ…」



せめて…と思って、とっくに反応してるオレを身体をよじって隠そうとしたけど、

…藍は許してくれない。



「……見せて。……綺麗だよ」



オレの両手をベッドに縫い付けるように押さえつけ、ただただ眺めている。



「身体がヒクヒクしてるよ。オレに触って欲しいの?」


「ゃ…やだっ…優しくしてくれるんじゃないの?……意地悪しないで…」


「そうだったな。つい……」



つい…て、なんだよ。


軽く睨んでやると、


「悪かったよ」と、唇の端に笑みを残したまま、キスを交わすと、そのまま下りていき、オレの入り口をほぐし始めた。



「ぁ…あ…お…? もう…オレ…」


「……ダメだ……痛い思いさせたくない……」



湿った音がオレの耳を犯す…


もう…充分なのに…


優しいんだか…意地悪なんだか…



「……藍…早く…欲しい…!」



一瞬、切なそうに顔を歪めて、


「あんま煽んな…! 暴走しちまうだろ」



そんな言葉とは裏腹に、少しずつ、少しずつ、オレの様子を伺いながら侵入してくる。



そして…



「全部入った。……動いても…平気か?」


声を出す余裕が無くて、縦に2、3度首を振った。


ゆっくりと動かす藍。だけど…



「悪ィぃ…余裕が…」



徐々に速くなるその動きに…オレの腰も自然とシンクロしてくる…



「もっと…もっと奥…まで…」


「っ!! お前なあ…!」


「藍…藍…ギュッとして…」



藍に向かって手を伸ばすと、 


何かを堪えるような切なそうな表情で、


「…ったく…なんなの…おまっ…」


そんな乱暴な言葉を吐きつつ、優しく抱きしめてくれた。


汗ばんだ肌と肌が触れあって…気持ち良くなって…


ドキドキするけど、安心する。



少し身体を離した藍が、


「悪ィ…もう…オレ…保ちそうにねぇ」


「ん…オレも…」


「愛…?オレのイキ顔見せてやるよ」


ぇ?…ぁ…


「オレも…一緒に…」  



藍は、こんなお願いを艶っぽい笑顔で応えてくれた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る