ずっと…… 16


そんな藍の様子を見て、達郎さんが教えてくれた。


「デートの時は、『このチャンスを逃したら、二度と若い男とデートなんて出来ねぇぞ』だったかな?」


「うわあ…藍らしいね」


  

中学生らしくないところが。



「で、結婚を決めてくれたのは、『もし、達郎さんが結婚してから暴力を振るうような奴だったら、オレが瞬殺してやるから、安心して結婚しろ』て、言ってくれたからなんだよね」


「ますます藍らしい…」


「だから、今度は、僕が藍君を助けたいんだ」


「……ぇ?」


 

藍は、今の達郎さんの言葉が意外だったのか、目を丸くして達郎さんを真っ直ぐ見つめている。



「あの時と違って、今は僕も家族なわけだからさ、支えてやりたいじゃん。それは、愛さんに対しても、そう思ってるよ」



……ぇ?



「オレも…?」



笑顔で頷いてくれた。



「貴和子さんにも言ったことあるけど、辛い過去がフラッシュバックされた時に、身体的不調が出るのは当然の事なんだ。

それは、決して愛さんのせいではないんだよ。

だから、それによって迷惑かけてるとか思わなくていい。 解った?」



ぁ…ぇ…と…


こんな…


こんな…事…言われるなんて…思ってなかったから…



「………ありがとう…ございます」


  

……不意打ちだよ…


オレのトラウマのせいで、藍に迷惑かけてる…て…


ずっと…ずっと…思ってきたから…



「あれ?泣かしちゃったかな?」


達郎さんは、オレの頭に、ふわりと手をのせて、顔をを覗き込んできた。

その表情から、オレのことを心配してくれてるのが解る。


「あっ。これはセーフだよね?」


イタズラが見つかった子供のように、藍の顔色を伺ってる。


「ったく。良いとこ、全部持っていきやがって……」


「ま、これでも、お父さんだからね。 愛さん?僕が言いたかったのは、君を支えるメンズの1人に、オレを加えて欲しいってこと。いいよね?」


メンズって……?



「コンコンコン!お邪魔します!」


このタイミングで、貴和子さん登場。



「何、話してたの?」


「女子には話せないエロ話」



こらこら…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る