誓い 15
玄関ロビーに着くと藍が待っていて、オレに気がつくと、いつもの包み込むような優しい笑顔で、オレを迎えてくれた。
ロビーを出て、タクシーに向かってると、藍がオレの顔を覗き込んできた。
「……何も無かったみてぇだな」
安心したように漏らしたその言葉の意味を知りたくて、藍を見つめた。
けど……、
「龍児さんらしいな」
て、小さく笑うだけで、何も教えてくれない。
「それ、どういう意味?」
「ん? 何でもねぇ」
ひとりでスッキリした顔して。
文句言ってやろうと思ったけど、
直ぐに「お願いします」と、タクシーの運転手さんに声をかけてしまったので、それ以上は何も言えなかった。
でも……、
……訊いちゃいけないんだろうな。
訊いてしまえば、何かが崩れそうな気がする。
藍も、たぶんわかってる。
だから、ちょっとだけハグされたことは黙っておこ……。
「なあ、今日時間ある?」
タクシーが走り出したところで、藍が訊いてきた。
「?…うん。荷物置いた後は、特に用事も無いけど」
「悪ィぃけど、買い物つきあってくれるか?」
「いいよ。何買うの?」
「んー、親に頼まれたんだ。正月の買い出し。あの雰囲気…オレの歳でひとりは、ちょっと…」
「…え?どこ?」
藍が行きづらい場所なんてあるの?どこなんだ?
そんなオレの表情に戸惑いつつも、藍の口から出てきた場所は…、
「……アメ横」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます