誓い 12


「ぇ…と…こうするの?」

 

「そう」


藍に言われるがままに、お互いの腕をクロスさせる。  



「こうすると、ほら。腕時計と顔が、カメラに収まって、綺麗に撮れるから」



ぁ…なるほど。さすがプロ。


オレが感心していると、喉を鳴らして笑ってる。


「なっ…何で笑うの? 馬鹿にしてるでしょ」


「馬鹿になんかしてねぇよ。ただ、可愛いなって、思っただけ」


「それが馬鹿にしてるって言うの!」


「ねぇ、キスしていい?」


「なっ…!聞いてる?」

 

「聞いてますよ。だから、キスしていい?」


「さっきだって、オレの許可無くキスしたでしょ?今更…」 


「さっきのとは、意味が違う」 


「……ぇ?」



そんな真剣な目で見られると、怒れなくなる…。



「…ぃ…いいよ」


素直になれなくて、そっぽを向いてしまったオレに対して、藍は、穏やかな声色で「サンキュ」と、呟いた。


オレ…本当に小さい。


藍は、腕時計をしているオレの手を両手で包み込み、オレの目を真っ直ぐに見つめた。



「…健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、死が二人を分かつまで、貴方あなたを愛する事をここに誓います」



……ぇ…?


ゃ……



「……ズ…ズルいよ…そんな事…急に…。そ…それに…心の準備というものが…」


「…悪ィ…早くオレのものになって欲しくて…」


…ぁ…ゃ…も、もう…!

そんな子犬みたいな顔されたら、


「誓う!誓う誓う。オレも誓います!

死が分かつまで…ていうか、死んでも離さないんだから!」


そう叫んで藍の首に抱きついた。


藍は、オレの背中に手を添えて、耳許で「ヤッタ」と、小声で囁いてた。


愛しさが込み上げてきて、ぎゅっとしがみついた後、身体を少し離して、


誓いのキスをした。

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