誓い 6
「忘れてませんよ」
「じゃ…早く説明してよ」
藍の顔を直視出来なくて、視線が泳いでしまう。
「わかった。ごめん。愛に泣かれても困る」
「泣きはしないけど…どこ見ていいかわからない…」
「ぁあっクソッ…可愛い過ぎだろ?」
突然、そう叫んだかと思うと、オレの事をギュッと抱き締めた。
「ぁ…あお?」
「悪ィ。このまま話し始めたら怒るか?」
「いや…怒りはしないけど…落ち着かない?」
「オレは、落ち着く」
「いや…だから…」
どうした藍? いつもと違ってなんか…絡んでくる…というか…甘えてる…?
「悪ィな。 愛が、人前でこういう事するの好きじゃないって、判ってはいたけど、こうでもしないとクリスマスに会えそうになかった」
「ぇ…クリスマスに…会いたいって…思ってくれてたの…?」
「ったりめぇだろ? そのために、色々準備してたんだから」
「…ぇ…?」
「その前に…愛の硬いモノが、さっきから当たってるんだけど?」
え?…ぁ…
「違っ、違うから!変な言い方しないで!」
オレは、ポケットからクリスマスの包装紙に包まれた緑色のリボンがついた箱を取り出した。
藍の姿と重なった天使のスノードーム。
「これ…藍に」
「……え?」
プレゼントだとは思っていなかったみたいで、凄く驚いた顔をして…
「…オレに?」
なんだか気恥ずかしくて、声は出せずに頷くだけの返事をしたら、
「開けていい?」て、聞かれて、口許が緩みそうなのを必死に堪えながら頷くと、
藍もパッと笑顔になって、丁寧に包装紙を開け始めた。
その笑顔は、まるで幼子のようで、こっちまで嬉しくなる。
「うわぁっ…すげぇ…スノードームだ」
持っている手を高く上げて、スタジオの照明にあてている。
中で舞う雪がキラキラと照らし出されて、それを見ているブルーグレーの瞳も、キラキラと輝いていて……
「この天使、愛に似てるな。サンキュ。すっげぇ嬉しい」
「…うん。…オレはね、その天使、藍に似てると思って買ったんだ」
「オレに?そうか?」
「自分の翼が傷ついても、オレを守ろうとする」
「何のこと?」みたいに首を傾げてるので、続けて説明する。
「今回の事だってそうでしょ? オレを守るために、オレ達の事を公表しようとした。そのために、藍の仕事が無くなるかもしれないのに」
「その事なら大丈夫だ」
穏やかな笑顔を浮かべてオレの髪を梳いた。
「今、話す」
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