逢えなくても …… 17


クリスマスウイークの月曜日。


オレは、窓辺に置いたスノードームを眺めていた。


雪が降り注ぐ中、天使が自分の翼で女の子を包み込み、優しく微笑んでいる。


天使の姿が、藍と重なった。


自分の翼が傷ついても、優しく微笑んで守ってくれてる。


同じ物をもう一個買っちゃった。


クリスマス柄のラッピングで、緑のリボンがかけられている。


やっぱり気になって、昨日見たクリスマスマーケットに、行ってきた。


平日の昼間だというのに、結構混んでたな…。



藍…


会えるかどうかも分からないのに…


プレゼント、買っちゃった…


会いたくて…会いたくて…


勢いで、藍の携帯にかけてしまった…。



呼び出し音5回で切ろう。


仕事で行ってるんだし…


迷惑だけは、かけたくない。


1回……2回……3回……4回……


…5回……


_で、切るんじゃなかった?


藍…お仕事、頑張ってね。



『愛?!』



……ぇ?



『…愛!…切るな!』



「……藍…ごめ…ん…」


『何、いきなり謝ってんの?』


「出るとは思ってなくて…油断してた…」


『……相変わらず、可愛い事言うね』


ぇ…?



「…ぁ…お仕事の邪魔じゃなかった?」


『朝飯食い終わった所だから、大丈夫だ。……そっちは夕方か?』


「……うん」


『……予定より遅くなって悪ィな。

細かい所で、揉めてな…そこは、どうしても譲れない所だから… もう少し…かかりそうだ』



そっか…そっか…


しょうがない…お仕事なんだから…


オレが…どうこう言える立場じゃない…



「うん…分かった…無理しないでね…」



電話だけど…オレは、思いっきり笑顔を作った。



『……そういう所も可愛いと思うけど…

オレには、本音を言って欲しい』


「……え?」


『声しか聞けなくても、今お前が、どんなツラで泣くのを我慢してんのか、手に取るように分かんだよ』


ぁ…


うん…オレ…贅沢になってたのかな…?


例え、クリスマスを一緒に過ごせなくても…こんなに…オレは…愛されてるのに…



「オレだって分かるよ」


『ん?』


「声しか聞けなくても、今、藍がオレの事を抱き締めてくれてる…て」


『……愛…わかってんじゃん。いいコには、ご褒美あげなきゃな』


「…え?何?」



『クリスマスには帰れるよ。』



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