逢えなくても …… 10
意識が飛びそうになるのを必死に堪えた。
だって…まだ藍と一緒にいたい…。
はぁ…
熱が上がったかもしれないな…
ぼーっとする頭で、呼吸を整えてる愛しの彼を見上げた。
視線が絡むと、髪にキスを落としてくれた。
「……初めての…共同作業だったね…」
「……そうだな」
藍は、笑いを噛み殺しながら、オレを優しく抱きしめた。
肩が揺れてる。
何が可笑しいんだよ。
そんな藍にムッとしたけど…
「……藍…?」
「……ん?」
「……幸せだよ…」
「…オレも…」
「ねぇ…藍…」
…藍が、激しく腰を揺らしてても、全然怖く無かったよ…
だから…オレ…もう…大丈夫…
早く藍に話さなきゃ…
抱いて下さい_て…
でも…
藍の体温と…頭を優しく撫でてくれる感触が気持ち良くて…
瞼が開かない…
*****
目が覚めると、部屋は薄明かりがついていた。
オレが怖がらないような明るさにしてある。
そんな些細な事にも、愛を感じてしまうバカなオレ…。
身体は、だいぶ軽くなった。
もう、ダルさは無い。
熱は、下がったんだな…。
隣から、規則正しい寝息が聞こえてきた。
藍が背中を向けて眠ってる…。
て事は、もう夜中かな?
明日、話してみよう。どんな顔するだろうか…。
でも、その前に…
堪えきれずに、背後から抱きしめた。
愛しさが込み上げてきて、胸がキュンとなる。
あれ…?藍…さっきは気づかなかったけど、少し痩せた?
「…ん…愛?」
「…ぁ…ごめんね…起こしちゃった?」
「…熱…下がったみたいだな…」
「うん…ありがとう…」
藍が、こっちを向こうとしたので、ギュッと力を入れて、それを阻止した。
さっきと逆だね…。
「…あのね…恥ずかしいから…このまま聞いててね」
「…愛、ちょっと待って…、」
藍が、身をよじって抵抗したので、
「ダメ…!」
と、声をあげてさらにぎゅぎゅぎゅぅっとした。
そしたら、ピクッと大人しくなったので、話を続けた。
「…さっきね…藍が、その…共同作業の時…オレ…怖くなかったよ。
あんなに激しく動いてたのに…それを見てても…全然怖くなかった。
だから……ぇ…と…オレ…もう…大丈夫。
つまり…その…何が言いたいか…て言うと…
オレを…オレを…だ…抱いて下さい!」
言った!
は…恥ずかしい!
ん?あれ…?…藍…?
いくら待っても返事が無い。
返事くれないと、オレ…辛いんですけど…?
まさか…引いた?
「……あ…お…?」
おそるおそる名前を呼ぶと、藍はベッドヘッドに置いてあるリモコンで部屋の明かりをつけて、ゆっくりとこっちを向いた。
……ぇ…?
ぇ…ぅ…嘘…?嘘嘘嘘嘘っ!!
なっ…なんで、一条さん?!
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