逢えなくても …… 9



「………ぇ…っ?」



藍は、本当に驚いたみたいで…ポカンとした表情だ。


自分でも、気づかない位物凄く怒ってるとか…?


オレが思い浮かぶ理由は、たった1つしかない…。



「…オレだけ…気持ち良くなっちゃった…から?」


「…は?」


「藍の事…良くしてあげるつもりが…自分だけ…気持ち良くなっちゃって…声まで出しちゃって…藍の事まで…考える余裕なくなっちゃって…ごめん…なさ…い…」


ホント…情けなくて…声に出したら、ますますそう感じられて…途中で涙が滲んできた…



「……なに的外れな事、言ってんだよ」


と、オレの髪をクシャクシャッとした。



「……え?…違う…の?」


「…違ぇわ」



じゃ…何だろう…?オレ…自分でも…気づかないところで、藍を傷つけた…て事?


最悪じゃん…オレ…



「んな顔すんなよ。……オレが…またやっちまっただけだから…」



ますます分からなくなったオレは、小首を傾げてみせた。


オレから視線を外した藍は、布団をオレの首のところまでかけ直した後、隣に横になった。


そんな藍を見上げると、もう怖い顔では無くなっていたけど…ちょっと顔が赤くなってるのは気のせいじゃないよね?



「愛?…やっぱ、そっち向いてて。」


クルッと、藍とは反対側の壁の方に向かされた。


ジロジロ見過ぎちゃったかな?



「ぁ…あお…?」



背後から優しく抱きしめられた。


フワッと藍の匂いと共に、耳許を掠める吐息…


熱が、ぶり返しちゃうよ…



「オレ…愛に触れながら…嫉妬で狂いそうだった」



……え?



「オレ以外のヤツに、上書きされて嬉しかった…て言うから…」



……ぇ?



……えっ?……えぇぇぇっ??



藍の方を向こうとしたけど、背後からさらに強く抱きしめられて、それは叶わなかった。



「…だって…藍の事だよ? しかも…夢の話だし…」


「夢の中のオレだろうが、オレの知らないところで、オレの知らない顔をして、可愛い声出したりしたのかと思うと…イラついて仕方なかった」



藍…。


愛しさが、ぎゅっとこみ上げてきて、藍の手に触れた。



「…どうしたら…機嫌直してくれる?」



オレの髪に顔を埋めていた藍が顔を浮かすと、


「……ひゃ…ぁ…っ」


片手で、オレの…を握り込んできた。


それだけで、元気を取り戻してしまうオレ…。



「オレの手の中で、イッて欲しい…」


返事を聞く前に、始めてしまう彼の手…



「…ゃ…ぁ…ま…待って…」



藍の方に向き直ると、今度は違う意味で息を呑む。


ほんのり紅くなった目尻に、潤んだブルーグレーの瞳…

それを隠すように、サラッと落ちた金髪の前髪…

艶っぽ過ぎて、心臓が跳ねた。



「……あの…オレだけじゃ…嫌…」



懇願するように見上げれば、触れるだけのキスをくれた。



「…オレのも…触って…?」



藍の情欲の色を纏った瞳に見つめられて

…オレ…それだけで、イッちゃいそうで…

藍の手に誘導さ れて、初めて触れた彼の…は、オレなんかより全然太くて…既にパンパンに硬くなっていた。



「…ぁ…っ…」


オレが触れると同時に漏れる藍の熱い吐息…


「……愛の手…柔らかくて…気持ち…良すぎ…」



そう囁いて、お返しとばかりにオレのにも触れてくれて…



「…ん…っ……」



神経をそっちに持って行かれそうになり、手の動きが疎かになりそうになる。



「…もっと…強く…握って……」



蕩けそうになりながら、さっきより少し速く上下に動かしてみる。



「……はぁ…っ…」



初めて聞く藍の甘い声…


オレの…拙い手つきで感じてくれてるの?


そう思うと、オレの腰も疼いてくる…



「……愛のも……おっきくなった…」



蕩けて熱っぽい瞳で見つめられて…



「……はぁ…っ…ぁ…ぁ…っ…」



お互いが…ドクドクと脈打っているのが分かった。



「……オレ…そろそろ限界…愛?……一緒に握ってて…」


「ぇ…うん…」



片手じゃ全然無理で、両手で握ったら

「可愛い」て、またまたキスされて、舞い上がってたら、


藍の腰が揺れ始めた…



「ぁ…ゃ…っ…それ…っ」



藍の腰が揺れる度、指とは違うところが擦れて…

時々電流が走ったみたいに、身体がヒクヒク反応する。


自然とオレの腰も揺れていた…


藍は、何かを堪えるように苦しそうな表情を浮かべていて…

それが…壮絶に色っぽかった



「……一緒に…イク…?」


「……ん…」



呼吸が少し荒くなりながら、藍は、オレの返事に笑顔を浮かべた。


藍の片手がオレの手ごと2人のモノを包み込み、絶妙な強さで動かし始めた。



「……ぁ…いやっ……変に…なる…」


「……変になってよ…」



誰のものなのか、もう分からない蜜が奏でる水音と、2人の呼吸だけが響く部屋…。



嬉しい……



いつもと違う…与えられるだけのものじゃない…

オレも…藍を気持ち良くする事ができてる…


それでも…訊いてしまうオレ。



「…藍…気持ちイイ…?」


「……ああ…すげぇ…イイ…」



それを訊いて緩んでしまう口許…



「愛…?…今…すげぇ…エロい顔してる…」



…どんな顔?


…と、ふっと藍を見上げたら、貪りつくようなキスをされた。


そんな荒々しい行為が、オレのために我慢してきてくれたんだな…と思えてきて、

暖かい気持ちが、身体の中から湧き上がってくる気 がした。


唇が離れると同時に、藍の腰が激しく揺れ始めて…


呼吸するのも苦しくなってきて…




2人同時に果てた…

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