逢えなくても …… 8


藍の口の中は、冷たくて気持ち良かった。


舌も気持ち良くて…


動き回る藍の舌を捕まえたら、吸われて…


舌先をチロチロ擽られて、堪らず声が漏れた。


首筋に藍の唇が下りて行くと、それまでの荒々しさは無くなり、優しく触れるだけのキスを繰り返している。


ぁ…れ…?



唇は、首筋から鎖骨へと下りていき、優しい愛撫を繰り返す。


手がスッと脇腹をなぞり、擽ったさから背中を反らせると、胸の粒を口に含まれた。


「ぁ…ゃ…っ」



飴を口の中で転がすように、粒をしゃぶられ、片方の粒も指で弄られ…


「んっ…ふぁ…っ」



ぁ…そうだ……夢…


夢と同じ…


肌に触れる藍の指の感触に、心も身体も歓喜に震える…


藍は、オレの手のひらにキスをした。



「震えてんな…」



夢とは違う生身の対応にも嬉しくて、涙が出そうになる。



「…愛?」


「…嬉しくて…」


「……マジかよ」


「……事件があった日の夜……藍が夢に現れて…オレの…身体に…上書き…してくれたんだ…嬉しかった…」


「……んだよ…それ…」



藍は、やっと聞き取れる位の声で呟いた。


ぁ…れ…藍…?


オレからぷいっと視線を逸らしたかと思うと、オレの片足を持って、足の指を一本一本舐 め始めた。



「……ゃっ…ぁ…それ…」



それから足首、ふくらはぎと、オレの顔を見つめたまま、舌を這わせてきた。


その姿は、妖艶で赤い舌も厭らしく感じて…



「もっと声を聞かせてよ」



太ももの内側を舐められて、思わずピクッと反応してしまう。



「夢ん中のオレは、どうだった? こんな事してくれたんかよ」


「ひゃっ…ぁ…っ」



後に舌を這わせ、襞を伸ばすように丁寧に舐めている。


「ぁ…は…ぁ…っ」



藍の表情を見たいけど、腹の底から突き上げてくる快感に、それどころじゃなくなっていく…



「……あ…お…?」



何か…変…



「…んっ……はぁ…っ」


「なあ…夢ん中のオレと、今のオレとどっちが良い?」



オレの中に、2本の指を挿れながら訊いてくる。


でも…こんな…状態で訊かれたって…



「…わかんな…い…っ」


「わかんないわけねぇだろ?…それじゃ…

愛?……オレに…どうして欲しい…?」



もう…やだ…


…でも…今は…恥ずかしいよりも…


早く…熱を吐き出したくて……



「…触って…欲しい…」


「どこを?…どんな風に?…ちゃんと言わなきゃ…触って…あげないよ」


「…ここを…」



藍の手をそこに導こうと、手を握った瞬間、大事な事を思い出した。


直ぐに言葉が出てこなくて、そのまま手を引っ張って藍を引き寄せた。


藍は、意表を突かれたのか、わずかな力でも、オレのところに倒れてきてくれたので、そのまま思いっきり抱きしめる。



「待って…待って…ダメだよ。…藍が…良くなってくれなきゃ…」



そこまで言って…少し、腕の力を弱めると


藍は、身体を起してオレを見下ろした……


冷静になった頭で彼の顔を見上げて、思わず息を呑んでしまった…だって…



「……何で…そんな怖い顔…してるの…?」

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