逢えなくても …… 7


ムクムクと主張されると、

オレのも反応しちゃう。やばい…!



「…悪ィ」


クルッと回転し、気づいたら、オレがベッドの上で、藍の両肘に挟まれていた。


そしてゆっくり近づいてくる顔…

オレは、目を閉じて受け入れると、額にチュッと軽くキスをされただけで、直ぐに離れてしまった。



「…熱…上がったんじゃないか? 無理させたか?」



……え?



藍は起き上がり、サイドテーブルの上に置いてあった体温計を取り、オレの脇の下に入れた。


計っている間、ずっとオレを見つめながら、髪を梳いてくれてる。


ますます上がりそうなんですけど。



電子音が鳴り、ベッドサイドに座って体温計を見ている。

そして小さな溜息…。



「下がったとは言え、38度7分かよ」


「……ぇ…?ぇ…ぁ…?」


「…龍児さんに、電話で聞いたんだ…高熱が出て意識が無いって。 で…合鍵借りた」



意識が無い…て…大袈裟だよ。


ぁ…でも…そのお陰で、こうして会えてるのか。

まさか…一条さん。ワザと?



「ぁ…そうだ。そこのコンビニで、いろいろ買ってきたんだ」


そう言って部屋を出て行くと、また直ぐに入ってきた。

スーツケースを転がして、手元には、コンビニ袋。

スーツケースをオレのキャリーバッグの隣に置くと、コンビニ袋だけ持ってきて、ベッドサイドに座った。



「何が必要か、分からなかったから、いろいろ買ってきた」



袋から、サイドテーブルに一つ一つ出していく。

ゼリーもある。藍は、それを手に取り「後で冷やしておくね」と微笑んだ。


オレは、その様子を見ながら、ああ…また、このまま何事も無かった事にするんだな…て、思った。

また…藍は、我慢するんだ…オレのために。



「デコに貼るタイプの、冷やすヤツも買ってきたから」


そう言って、箱を開けようとしている藍の腕を掴んだ。


「…どした?」


「…お願い…シて」



藍は、驚いたように目を見開き、固まっている。


引いた?


でも…今度…いつ会えるかも分からないのに…我慢させたままなんて、嫌だ。



「……ダメだ」


「……どうして?」


「…高熱出てる時に、する事じゃねぇだろ?」


「…そうかもしれないけど…でも…もう…我慢して欲しく無いんだ。藍のアパートでも…結局…オレだけだったし…」


「オレに気ぃ遣ってるんなら、気にすんな。オマエの身体に負担かけてまで、する事じゃねぇし。 それに…我慢出来ねぇ程、ガキでもねぇ」


「ぁ…今…我慢…て、言った…我慢って」


「……っ!」


「やっぱ…我慢してんじゃん…それとも…何?…こんな…オレの事…嫌?オレじゃ…ダメなの…?」



バン!


背中を向けて座っていた藍が、振り向きざまにオレの頭を挟むように、両手をついた。



「今の愛…破壊力あり過ぎ」


ん?破壊力って?


疑問に思ってる隙に唇を奪われた。


いつもより強引なキス…


食べられるんじゃないか?と思うくらい…何度も何度も、唇を食まれる。


余裕の無いキスが、オレを昂ぶらせる。



「…どうなったって…知らねぇぞ」



唇を少しだけ離して告げた。


さっきまでとは違って、熱を宿したその瞳に、胸は高鳴った。


噛むような乱暴なキスを何度も何度も重ねる…。



「…辛くなったら、正直に言えよ」



まだそんな事言ってる。

…どこまで優しいんだか。



「…もう…黙って」



オレは、後頭部を引き寄せて、優しい男の唇を塞いだ。




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