好きだからこそ 16


哲哉さんに守られるように、肩を抱かれながら放送室を出ると、目の前には、藍が立っていた。



「ぁっ!…ぁ…あ…お。」



顔を見たら、急に恥ずかしさが湧いてきて…

放送で、何を喋ったのか、慌てて思い返してみたり、おかしな所は無いか、服装を気にしてみたり、かなりの挙動不審っぷりだ。



「…愛。」



そんなオレを丸ごと包み込んでくれる藍の瞳。

しょうが無いなと語っているようで…



「頑張ったな。」


と、オレの頭をポンポンしてくれた。


良かった…怒ってない。しかも、誉めてくれた。



「で?アンタは?」



今だに、オレの肩にかけてた哲哉さんの手首を掴みながら…ぅ……睨んでます。


やっぱ、怒ってたんじゃ…?



「ぁ…この方は、警視庁警備部にお勤めの、須藤哲哉さんで、一条さんのお友達なんです。」


「ふーん。龍児さんの。…じゃ…いっか。」



え?何が?何がいいの?ていうか、名前呼び?


藍は、哲哉さんの腕を払うと、哲哉さんがしていたように、オレの肩を抱いた。



「哲哉さん、すみません。」


「いいって、いいって。これぐらいじゃなきゃ、愛ちゃんの彼は、務まらないからね。」


「何、お前ら名前で呼び合ってんの?」


「…藍!」


「それじゃ…僕は、これで。」


「あ…大河内さん…。今日は、ありがとうございました。」



オレ達の後から出てきた大河内さんは、軽く会釈をしながら、前を通り過ぎて行った。



「何だ?アイツ。」


「サイトの事務局の人だよ。」


「ふーん。」


「あ…藍?」



藍は、肩を抱いていた腕でオレを引き寄せ、抱き締め、オレの髪に顔を埋めた。



「心配なんだよ。抱かせろよ。」


「で、でも…ここ、学校…」



どうした、どうした藍?

でも…どこか嬉しくて…

顔が隠れている事をいい事に、されるがままになっていたら、



「お前ら何やってる?」



ひゃぁ…先生ですか?

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