好きだからこそ 7



「それ、正解。」


「…は?」


「アイツと寝る時は、必ず強請られて腕枕してたんだけど…。 それは、ただ甘えてるだけなんだと思ってた。 けど、今の話聞いてたら違うと思えてきた。」


「……違う?」


「そりゃ、相手がオレだから、甘える気持ちもあったかもしれねぇけど…。

怖いんだと思う。誰かの気配がある中で、眠るのが。 だから、ソイツの体温に触れて、知ってる人間なんだと思える事で、安心して眠りたいんだと思う。

だから…これからも、アイツが求めてきたら、手を握ってやって欲しい。」


「……わかりました。お任せ下さい。」


「敬語。龍児さん。」


と、苦笑する紫津木さま。


さっきから、心臓の音が煩い。


20も下の少年に、翻弄されてる気がする。


恐らく、私の気持ちに気づいているのだろう…。


敢えて訊かないのは、この気持ちをこのまま封印するつもりだという事を知ってるから…なのか?



「龍児さん。オレね、愛がオレのこと好きになってくれたのって、奇跡だと思ってるんですよ。」


「……えっ?」


「あの状況下で人を好きになるって、やっぱ奇跡だよ。 そんな純粋で、優しい心を持っている愛に、オレは、感謝したいし、これからも、そんな心を持ってる愛を守っていきたいと思ってる。」


「……何故、その話を私に?」


「んー、なんとなく。同じ匂いがして?」


と、屈託の無い笑顔をオレに向けた。



この人には、敵わないのだろう。


オレの気持ちを口にすれば、大切な人達を裏切る事になる。



愛本人 紫津木さま 如月社長


すみれ



そしてオレ自身_。



オレはただこれからも、紫津木さまを愛する愛さまを守っていくだけだ。




一条龍児side end

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る