藍のアパートで…… 4
オレは、藍の反応が怖くて続けて話した。
「もちろん、藍に対して酷い仕打ちをしてしまったっていう事は覚えている…でも、所々、記憶が抜け落ちていて…」
そこまで話すと、藍に肩を思いっきり掴まれた。
やっぱ、怒るよね…
でも藍は、そのまま抱き起こしただけで……。
「…ごめん。ごめんな…」
藍の胸から聞こえてくる謝罪の言葉…
「…本当にごめん。」
「…藍?」
「オレ…わかってたつもりだったけど……本当のところは、わかってなかったんだな…ごめん…。」
「藍…?オレ…そんなつもりで…」
「今だって雰囲気に乗じてヤろうとしてたし…怖かったろ?」
ヤろうとしてたんだ…
「サイテーだな…オレ。」
えっ?!
なんで?!
俯いて視線を逸らした藍を見て、思わず口を開いた。
「サイテーじゃないよ。サイテーなのは、オレの方だ。」
え…っ?
視線を上げてオレを真っ直ぐな目で見てる。
え…と…?
思わず口から出た言葉だった…。
あ…でも…確かに…オレってサイテーかも…
「こんな事言ったら、引くかもだけど…ていうか…軽蔑されるかも…」
うわっ…声が震える…!
「オレ…覚えてないんだ。
どんなことされた…とか…どんなこと強要された…とか…
それどころか…相手の顔すら覚えてない……
サイテーだろ…?」
と、笑ってみせた。
スッと藍の掌が、オレの頬に伸びてきたので、
瞬間…目を瞑ってしまった。
ん?
うっすらと目を開けると、
藍は手をとっくに引っ込めていて、
その代わり、とても切なそうな…悲しそうな…そんな顔をしていた。
ああ…オレって、本当にサイテーだ。
あんな話しても、藍はオレのことを軽蔑したりなんかしないって…どっかでわかってた筈だ。
それどころか、自分を責めてしまうって…
わからなかったか?
しかも、叩かれると思うなんて
「…藍…オレ…」
「前にも言ったろ? 自分を貶めるような事を言うな。サイテーなのは、愛じゃなくて、そいつらだろ?」
「…うん。」
「オレの気持ちを上げるために話したんだろうけど…もっと自分を大事にしろよ…。」
「…ごめんなさい。」
「…キツい言い方してごめん…でも、お前が傷つくの見たくないんだ。」
はあ…本当オレってサイテーだ。
そう感じたオレは、自分から藍に抱きついた。
顔だけ上げて藍の顔を見ると、驚いたようで目を丸くしている。
オレは、再び藍の胸に顔を埋めて話し始めた。
「オレが話したかったのは、その…どうしたらいいのかわからない…ていうか…自分がどう反応するのかわからないし…オレ…変な声出しちゃったら、引かれるかな…とか…」
そこまで話すと、オレの背中に腕を回してくれた。
「要するにオレ…好きな人に抱かれるの初めてだから…そんなオレのこと…受け入れてくれるのか、不安で…」
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