決着 4



……な…に…?


恐る恐る目を開けると…



あっ……!



右足を振り上げている紫津木が、そこにいた。


傍らには、さっきまでオレの上に乗っていた村井が、完全にのびている。



これってもしかして…


回し蹴り…?なのか……? 凄ぇ……


オレが暴れても、どうにもならなかった大柄な男をたったひと蹴りで。


でも_、


「如月…!」



その一言で我にかえる。



「紫津木…なん…」



なんで?と訊こうとしたら、両肩を掴まれた。



「オレ、間にあったか?」


「…ぇ」


「間にあったのか?」



その勢いに圧倒され



「えっ……あっ……うん。」


と答えると、ホッとしたような柔らかい表情になった。



「そっか……良かった………。 それじゃ、ちょっと待ってろ。すぐ終わるから……。」



そう言って、制服のブレザーでオレの身体を包んでくれた。



「……ありがとう……。」


「いや……ただ……目のやり場に……困るだけだから……。」


「え……?」



今、なんて……?


紫津木は、すくっと立ち上がると、

いつの間にか、背後にまわっていた、もう一人の男の顔を後ろも見ずに、裏拳で顔面を殴り、 怯んでいるその隙に、腹部を正拳で、何発も突いてからの、回し蹴り_!


その間、紫津木は全くの無表情で、それが爆発しそうな怒りを抑えこんでいるかのように、逆に凄みを増していた。


元の紫津木に、戻ってくれるのか不安になるほど……。


 


「てめぇが、安堂か?」



その鋭い眼光を安堂に向けた。


それに圧倒されたのか、安堂は、2歩、3歩と後退りしている。



「ま……待てよ……なにマジになってんだよ。ほんの冗談だろ?」



紫津木は安堂の足を払い、尻餅を付かせたところに、すかさず馬乗りになり、顔面めがけて正拳を繰り出した……!


一瞬の静けさから、安堂の荒い息づかいだけが聞こえてきた。



寸止め……?



「オレ、こいつに関しては、冗談つうじねぇから覚えとけ。それと…」



視線は逸らさず、安堂の襟元を正すと


声のトーンを下げて話し出した。



「これが、一番大事な事なんだが…

愛は、オレのもんだ。 二度と手ぇ出すな。わかったか!」


「は…はい!」


ぇ…


えっ……?



ええぇぇぇえっっ!?



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