決着 3



「王子様に写メ送ってから、30分経過しましたぁ。」



ギラギラした厭らしい目つきで、オレを覗き込んだ。


オレは、タオルで口を塞がれ、上半身裸にされ、両腕を上に上げた状態で手首を縛られ、足首も縛られている。


これじゃ、あの時と変わりないじゃん……!

進歩無いな…オレ。


3人がかりで、いいようにされて…

悔しくて、涙が滲んでくる。


紫津木、ごめん……!



「今度の王子様は、何分で到着するかな?前回は、ヤってる最中に来たんだったな。」



他の2人がクスクス笑う。


村井の他に、知らない男が1人増えていた。


たぶん……紫津木は、大事な人と過ごしてる。


だから、メールに気づかないで欲しい…!


そんな大事な時間に、こんな汚れた身体の写真なんて……見て欲しくない



「1時間待つ_と、送っておいたから、後30分。 それを過ぎたら、お楽しみタイムだ。 そもそもお姫様が悪いんだぜ。1人の男に独占させようとするから。 アンタには、これからも、オレたちのはけ口になってもらわないとな。」



前髪をわしづかみにされ、振り下ろされる。


そうだった…こいつらに何回もヤられてるんだ。


紫津木も、そのことは知ってる。


今さら……慌てて来る必要性がどこにある?


なんの脅しにもなってないよ。


……馬鹿だな…こいつら…


何も怖く無い…以前の生活に戻るだけだ…。



「なぁ、バカ正直に後30分も待つのかよ。」



目の前にいた村井が言葉を発した。



「最後までヤらなきゃいいんだろ? こんなエロい身体目の前にして、我慢できるかよ。」



エロい身体ってなんだ。

そんな厭らしい目でオレを見るな…!


安堂を見ると、


「好きにしろ。」


と興味なさそうに呟いた。 


ウソでしょ?



「それじゃ遠慮なく…」



オレにまたがり、口を塞いでいたタオルを外した。



「声聞かなきゃ気分でねぇからな。」



新鮮な空気を取り入れようと、口を開いたその時…


村井の口で塞がれてしまった。



「……んっ!…」


「エロい息づかいしてんじゃねぇよ。」



そんなの知らない!ヤダ!


オレは、できる限りの抵抗を試みた。



「暴れんなよ!オイ、押さえてな。」



もう一人の男に促すと、



「オレにも後で楽しませろよ。」


と、肘の辺りを押さえ込んできた。


村井の舌が耳の穴に滑り込み、厭らしい音を立てている。


それから首筋、鎖骨と舌を這わせてきた。



イヤ…イヤだ…!



「止めろ…!」


「何?気持ちいいの?」



なわけないだろ…本当にイヤ…気持ちが悪い!


それでも必死にもがくが、びくともしない。


やっぱり……戻れないよ…元の生活になんて……!


紫津木の……暖かい腕の中を知ってしまったから…もう…戻りたくない……!



「おい!あんまり暴れてると、早々に突っ込んで身動きとれなくしてやるからな。」



えっ?…突っ込むって……えっ…?


自分の唇をペロッと舐めて、ベルトを外し始めた。


背後からは、もう一人の男の厭らしい笑い声… 


…嘘……!?


安堂を見ると、誰かと携帯で話をしているようで、こちらの様子には気づいていない。



「残念だったな。」



…嘘でしょ?…イヤだ……怖い…


…イヤ…イヤ……!!



目の前の現実を受け入れられず、無意識に目を瞑る。



結局…あの時と同じ…。


葵さんだけじゃなくて、


紫津木にまで…迷惑かけちゃった…。



ごめんね…。


約束……早速破っちゃって…


写メ見て…呆れてるかもね


泣いてどうにかなるものじゃないのに…紫津木が、人形から人間にしてくれたのに、こんな…




ビュン!



ぇ…?


風がうなりオレの髪を揺らした…


な、何?


なんて、思ったのはほんの一瞬で、直後、


ドッカーン


と、もの凄い音と同時に地響きが起きた。

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