向川(むかいかわ)高等学校 2



やっぱ、不審者と思われてるのかな。


校門から出てくる生徒達に、チラッチラッ見られてる気がするんだけど…

気のせいじゃないよね。


校門前で待ってるのって、まずいのかな。 

それとも、この格好がダサすぎだから…とか?

いや……逆に普通すぎ?

もうちょっと考えてくれば良かったかな。

人と外で会うなんて、久しぶりでよくわかんないよ。


広めの襟ぐりの紺のセーターに、ジーンズという、いたってシンプルなものだけど…。 

 

そもそも、服装気にするなんて、女子の発想?


…なんて、ごちゃごちゃ考えていたら、いつの間にか校門前は、黒山の人だかりになっていた。


生徒達がこちらを伺っていて、心なしか笑われているような…


やっぱ、まずかったかなぁ。


その中のひとりの男子が、周りに小突かれて、こちらに小走りでやってきた。



うっ…怖い。何?



「失礼します!誰かの出待ちっすか?」



出待ちって…。よくあるのかな?



「2年の…紫津木藍なんだけど。」



紫津木の名前が出ると、表情が明るくなって、集団に戻っていった。



「紫津木先輩だって!」



男子生徒が、集団に報告すると



「うっそ、どうする?」



え?何?



「呼ぼうぜ。」


「行きたい!」


「でも、2年のフロアに行くの緊張するよな。」


「みんなで行けば、大丈夫だよ。」


「私、紫津木先輩と話してみたい!」



何か…大事おおごとになってない?


どうしよう…



「あっ!北本先輩! 紫津木先輩は?」



後輩くんが話しかけたのは、紫津木より少し背が低いくらいの、茶髪でウェーブがかかった男子生徒だった。




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