男の子 5
まぁ……最中……
不覚にも、相手が紫津木くんだったら……
なんて……
妄想しちゃって
そしたら
簡単にイッちゃって……
あぁぁぁぁ!!
何やってるの?オレ……。
バカだね。
こんな姿、一番見られたくない人じゃん。
安堂の声が、玄関から聞こえてきた。
誰かと話している。
あっ……次の人が来たんだ。
ウソ……
せめて、布団ぐらい羽織りたい。
こんな、はだけた格好……
いくらなんでも恥ずかしい。
思うように動かない体……。
ていうか、布団、どこ?
わずかに動く、腕と足で布団を探るけど、見当たらない。
そんなことをしている間に、廊下を歩く足音が聞こえてきた。
ていうか、凄い足早……。
急いでるの?
そして、リビングの扉を開ける音。
あっ……そこ……入って欲しくなかった。
いつもなら、オレが廊下側の入り口から案内するのに……。
安堂のバカ……。
そんなことを考えている間に、リビング側の扉が開いた。
オレは、せめてもの抵抗で、自分の腕で顔を隠した。
「ごめんなさい……オレ……動けない……から……好きにしていいよ。」
「……如月……さん……?」
っ??!!
聞き覚えのある優しい声……。
えっ?!
待って!
オレは、ゆっくりと腕をどかし、相手の顔を確認した。
ああぁぁぁっ……!!
オレの天使が…そこにいた……。
彼は、片手で口を抑えていた。
「男……だった……の……?」
「紫津木くん……。」
彼は、オレの言葉で我に返ったように、
一瞬目を見開いた。
「ごめん……。」
そう呟いて、オレに布団をかけると
部屋を足早に出ていった。
玄関の扉が閉まる音が、虚しく響いた。
嘘 嘘 嘘 嘘っ!!
なんで?!
なんで来たの?!
なんで……なんでだよ……。
涙が……溢れてきた。
彼が、掛けてくれた布団を握りしめ、思いっきり泣いた。
「優しいんだから……。」
もう泣く事は無い。泣き納めだ。
これ以上悲しいことなんて、
この先、きっと無い……。
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