男の子 2


一昨日、スタジオで初めて彼を見た時は、鳥肌が立った。


こんな綺麗な人が、この世の中にいるんだなって……。


近寄りがたいオーラを彼は、まとっていた……。


でも、話してみると、とても気さくで暖かくて……、

葵さんが好きになったのも、少しわかる気がした。



顔も見た事が無い彼の事を恨んだ日もあった。


でも……、 


眠りながら、涙を流していた。



彼も、何かを背負って生きている……。 


それでも、こんなオレを気遣って、抱き締めてくれた。


とても暖かくて、

今までの罪も一緒に包み込んで、受け止めてくれるような…… 


そんな錯覚を覚えてしまうほど……。





~♪~



インターフォンが鳴った。 



現実に引き戻される……。



もう来たのか……。


何人でも受け入れるって言ったからな。


午前2人で、午後3人か……。

もつのかな……オレ。


自嘲して、ひとつ息をつく。


今日、こんな思いをするとわかっていても、昨日だけは嫌だった。

1日、紫津木くんの事だけを考え、 

彼の事で、身体からだを満たしたかった。

誰にも、邪魔されたくなかった。



玄関を開けると、安堂あんどうが立っていた。 



「珍しいね。」


「久々に、お前に触れたくなった。」

 

「そう。」



こんな目を背けたくなる現実から、彼と会ったその日くらいは、 


逃げたかった。


夢をみたかった。

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