女の子……? 8
「ご、ごめんなさい!あの……?」
「オレの顔、そんなに面白かった?」
「いえ!綺麗です!……あっ」
からかうつもりで言った言葉に、意外な言葉が返ってきた。
言った本人は、さらに赤くなって、口を両手で塞いでいる。
オレは、自分の容姿が嫌いだ。
そのためか、容姿だけを誉める奴らも嫌いになった。
モデルを始めてからは、スルーする事や、営業スマイルで切り抜けるという術を身に付けたが、
オレは何故か、とっさにこんな意地悪な質問をしていた。
「へぇ……オレのどこが綺麗?」
「えっと……」
彼女の困惑した顔を見て、馬鹿な質問をした事を後悔した。
なにイラッとしてんだろ……。
他の奴らにやるように、『ありがとう』とか言って、営業スマイルでもしとけば良かったんじゃねぇの?
彼女は違うとでも思ったのか?
何を期待した?
「あぁ……変な事訊いてごめんね。」
「いえ……あの……髪が。」
「……髪?」
「はい。………髪が太陽の光に溶け込んで……宗教画みたいで………あの…でも……変な事言って、ごめんなさい。」
彼女は、俯きながらペコッと頭を下げた。
宗教画か……。
「ばあちゃんみたいな事言うんだな。」
「えっ?ば……ばあちゃん…?」
「あっ……年寄り臭いとか、そういう意味じゃなくて……オレの死んだばあちゃんのこと。」
「ぁ……。」
「オレさ、自分の顔が嫌いなんだよね。……だから、そんなオレを見かねたばあちゃんが、思いついた言葉だと思うんだけど……、」
あれ……?
オレ……身の上話始めてる……?
「教会に描かれた天使みたいに綺麗な髪と瞳を神様から貰ったのだから、自信持て……て。」
「えっ……あの……?」
「ああ……髪と瞳の色、生まれつきだから……。」
「えっ……す……凄い凄い凄い!本物?!素の色で、そんなに綺麗な金色なんですか?」
「えっ?! あっ……ああ、そうだけど……?」
なんだ?!このテンション……。
いったい、どうした?!
「なんで嫌いなんですか?おばあさまの言う通り、自信持ったほうがいいですよ!」
「オレは、両親と同じ髪と瞳の色で生まれてきたかった………。」
て……さすがに今のは引くよな……。
なんで、こんな事まで話してんだ?
初対面の相手に……。
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