第16話 僕と友達のデート大作戦(3)〜朱希side


週末の予定に向けて、私はとにかく動き回っていた。予定合わせ、場所選び、口実の作り方、悠雨への声掛けなどなど……。


とにかく忙しいけど、桜花の為だし頑張っちゃうぞ~!! と張り切った。 それに、二組で行動するなら……、己丞とも二人っきりになれるし……。


今回のデート大作戦はもしかしたら、私にもチャンスがあるのかもしれない……。


「よ〜し!! やってやるぞ〜!!」


そう意気込んでいると、スマホに着信が届いた。


誰からだと思ってとってみると、桜花からでしかもビデオ通話で掛かってきた。


どうして、ビデオ通話なのかわからなかったけど、とりあえずカメラをつけて、スピーカーにして出てみる。


「はーい、もしもし? 桜花。どうしてビデオ通話?」


「あの、己丞君に考えてもらった衣装を持ってきてもらったから、今それを着てるんだけど……。ちょっと見せようかなって……。」


「え!? どんなのどんなの?? ビデオ付けてつけて!!」


一体どんなを選んだのかワクワクするし、桜花ならどんなのでも似合うという自信があるからこそすごく楽しみ!!


「ど、どう……? 変じゃないかな? 一応、朱希の意見も聞きたくて。」


そう言いながら、腕を伸ばしてスマホを上の方へあげて、全体を映そうと頑張っている。


その姿が可愛いんです!! カメラを上に持って行っていることで、上目遣いみたいにもなっているし、自然と女の子座りになっているのもポイント高い!!


衣装自体もすごく可愛い!! スカートと袖にフリルが着いているのが可愛さを際立たせている。


ただ、少し予想はしてたけど……、少し地雷っぽいな〜。すごく可愛いし、ずっとみていたいんだけど……、私服がこれって大丈夫かな……?


でも、悠雨がそういうところに敏感かって言われると……、正直鈍い。


悠雨なら気にしなさそうだし、一応、悠雨が好きになったことがあるキャラに近づけているってことだし、これでいいかな。


むしろこれで、迫ってみるっていうのもありかもしれない……。ただ、桜花には無理だろうな……。緊張して何も出来なくなっちゃいそう。


「うん、すごく可愛いよ!! これならいいと思う。正直心配だったけど、思っていたよりまともで良かった。よし、これで衣装は決定だね。」


「うん!! 己丞君のおかげで助かったよ! あとは練習を続けて完璧にしてみるよ!!」


桜花自身もすごく息巻いている。よし!! 私も最後の役目をやらないと!!


「OK! 私もあとは、悠雨を誘うだけだから、最後の仕事やり遂げるよ〜!!」


「本当、何から何までありがとう。」


「いいんだよ。ずっと友達でいてくれたんだもん。これくらい手助けさせてよ。」


私にとってあの三人は特別なんだ。どんなことがあってもそばにいてくれた。


昔、私は性格上、よく敵を作ってしまっていた。自分が正しいと思うことを曲げずに、周りに流されるということを知らなかった。


そのせいか、一時期クラスで一斉に無視されることにもなってしまった。その時同じクラスだった三人はそんなことお構い無しに私の元に来てくれた。


私はどうして話しかけに来てくれたとか聞いた。

その時己丞は言ってくれたんだ。


「自分の意思殺してまで、流されることなくない? 朱希と関われなくなるくらいなら、クラスの立ち位置なんてどうでもいい。」


そこにいた桜花と悠雨も頷いていた。


これがきっかけがどうかはわからないけど、私は己丞のことが好きになった。


そして今でもずっと感謝している。だからこそ、手助けをしたい。桜花が全力で向かい合える機会を作ってあげたい。悠雨には少し申し訳ないと思っているけど……。みんなで集まっているのが一番楽しいから。


「みんなには本当に感謝してるんだよ。だからこれは、私なりの気持ち。それに、小学校のときからずっとお似合いだと思ってたんだよね〜(笑) 上手くいったら、ダブルデート約束だよ!!」


「うん! そうなると朱希も成功させないとね(笑)頑張ってみるよ!!」


「そうなると私も頑張らなくっちゃ!! じゃあ、また予定が確実になったら連絡するね〜。」


「うん、ありがとう。またね〜。」


そして、通話を切り、ひとつ息をおいてから悠雨にメッセージを送信する。


「悠雨〜! 久しぶりにみんなで集まらない? ちょうど貰い物のチケットの有効期限が切れそうなんだよ。

今日会った雪華ちゃんも連れていくけどいい?」


いつものように、父から貰ったチケットを消費するために遊びに誘う文面を送った。


「日にち的に桜花は来られないらしいんだけど……。それでもいいかな?」


これもちゃんと送っておかないと。当日知ることになったら、桜花のことを心配して家に向かいかねないから……。


さて、悠雨はどう動く……?


「べつの日にするのことは出来ないのか? 出来る限り、全員で集まりたいしさ。」


やっぱり、そう来るよね〜。いかにも悠雨らしい返信だ。そう来ると思ってたから、対策は完璧!!


「うーん、なかなか難しいかも……。期限が今週の週末までだから、それ以降っていうのは無理かも……。一応、桜花からみんなで行ってきていいよとは言われているから、そこは大丈夫っぽいよ。」


桜花から言ってもらったと言うと、悠雨は納得してくれやすいから、これでどうかな〜?


「そこが大丈夫ならいいか。わかった、今週の休みにな! あとで詳細なことは連絡してくれ。」


よし!! 任務完了! これで完璧!!


「OK! 悠雨は来るの決定!!」


「詳しいことはまたあとで連絡するね〜。」


これで、おおまかな仕事は全部完了!! よし、あとは細かな調整を頑張るぞ〜!







〜続く〜

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