当たり前だが同棲って陰キャには高い壁です。

「おはよぉぉ」

「あ、ぁ、ぉはよぅ」

「ん?眞樹まき君なんか言った??」

あなた様がなんか言ったからなんか言ったんだけどそれぐらい聞いといてよね。

ま、まぁ陰キャが出ちゃったけどね。ははは

っていうかこの状況すんなりと受け入れていいものなのだろうか。

自分の家のリビングにクラスメイトがしかも女子がそして朝からいるというこの謎状況。

ラノベかよ。

昨日は風呂入ってたら彼女が入ってくるし。

(勘違いするな混浴はしていないぞ。脱衣所手前で気づいたぞ。)

水飲んでたら俺の飲んだコップで彼女も飲もうとするし。

そして何より部屋間違えて寝てたし!!

それは普通ないからね!まぁ俺が部屋入った時にちょうど気がついたからいいけどね。

それにあの香りは悪くはなかった。デュフフ。。。

ちょっと俺今キモいかも。 


「あ、あの。ゆ、柚乃ゆのさん。朝ご飯ど、どーぞ」

ちょっと俺陰の部分出過ぎじゃないかな。

落ち着け俺。今彼女の胸元がはだけてるからって意識したら負け。

「あ、ありがとー!っていうか"さん"つけなくていいよ!柚乃でいいよー」

あっ出た勘違いさせちゃうランキング37位くらいかな。

わざわざ距離を開けるために"さん"つけてるのに自分から『さんつけなくていいよー!』って非リアそして陰キャを殺しにかかる技。

「お、おうよ」

あとこの俺の返答陰キャすぎて笑えない。

「んー!おいしい!」

そのリアクション毎回やるのかな。だとしたらもう食レポとかしたらどうかな。。。

「毎朝眞樹くんが作ってるのぉ?」

「あ、あぁそうだけど...」

「へぇ〜!家事全般できるんだね!」

「ま、まぁ姉さんが家事できない人だし親はあまり帰ってこないし、自分以外やる人いないから...」

「いいなぁ。私そういうのできないからさぁ。今度教えてもらうね!」

えっ。勝手に約束か、、、

それに家事ができないできないって言う人の約90%はやったことない、ただめんどくさいだけだと思うんだよね。。。

それに一応"女"として男に教えてもらうのは嫌だというプライドはないのだろうか。

まぁ今の時代ないか。ないな。


そうやって考えてる間に2人は朝ご飯を食べ終え各々おのおのの部屋で自由な時間を昼ぐらいまで過ごしていた。


「ちょっとしつれ〜い」

「お、おう」

勝手に入らないでくれますかね柚乃さん。

男というのはですね、勝手に入られるとあんなことやこんなことを見られた時に弁解のしようがないんですよ。

(ちなみにこれ友達の話ですけどね)

「今日眞樹ねえは?朝から見ないけど。。。」

「あぁ姉さんは朝から特別学習だよ。

姉さんもああ見えて一応進学目指してるからね。」

「ああ見えてって眞樹君にはどう見えてるの、、、」

「まぁそういうことだから今日は1日いないよ。

夕飯も数少ない友達と食べてくるって言ってたし」

「そーなんだ。。。りょーかいした!」

えっなに。いきなり軍隊か!?ここは。。。

なぜか張り切って柚乃は眞樹の部屋を出て行った。


「テッテレン♪テッテレン♪....」

「おっ!?」

なんだ電話か。

なんかタイミングがいいな、、、

眞樹はスマホを手にとる

「はい、もしもし」

「おい、生きてるか?」

なんだいきなり失礼だな。

「あぁ生きてるよ」

「そう、あのさぁ明日って空いてたりする?」

「まぁ空いてるよ」

「そ、そう。じゃあ明日9時に駅で」

「はっ?ちょっ、、」

あっ切れた。だからキレたいのはこっちなんだよな。

今の電話相手は榊葉薇さかきばら夢乃ゆめのだ。

一応いうが女だぞ。

会話だけ聞いたら男っぽいけどな。

会話からして察しがつくと思うがいわゆる幼馴染だ。

と言っても2人で遊んだりしたことはあまりない。

そんな夢乃がいきなり遊びに誘ってきた。

ちなみに夢乃は隣のクラスだ。

意外と容姿端麗で成績優秀な完璧人間として知られている。

が、そこまで至るまでに彼女はものすごい努力をしてきた。

そのことは俺だけが知っている。

夢乃はみんなからはあまり近づきにくいらしいが俺はそうは思わない。

なんならたまに一緒に帰ったりもしたことがある。

まぁその周りの奴らがひやかしてきて今はもう一緒に帰るとか、学校で話すこともないけどな。

だからこそ今なぜ電話しにきたんだ?

それも遊びに誘ったんだよな?

いや、俺ら2人で行くところなんてないけどな。。。


「いっただっきまぁす!」

なんかミッ○ーマウスみたいだな。

彼女は毎度のように"んー!おいしー!!"とリアクションをとっていた。

2人は無言で夕飯を食べていた。


「あっそういえば俺は明日ちょっと出かけるから」

「えっ!?ど、ど、どkkkk、どこにいくの!???」

そんなにびっくりしますか?

やっぱり友達いないと思ってますよね。

悲しいです。いやもういいです。

慣れてました。

「そ、その友達と遊んでくる。。。」

「そ、そう。じゃあ明日は私1人でお留守番だね」

「えっ?姉さんがいるよ」

「あのね。眞樹ねぇは数少ない友達の家に泊まってそのまま学校にいくそうだよ」

柚乃さんにも"数少ない"って言われてるし姉さんかわいそうに、、、

「そ、そうなんだ。な、なんかごめん」

「いやいや!全然大丈夫だよ!!気にしないでね!」

そう言って彼女はおもむろにスマホを取り出し誰かに連絡をしはじめた。

眞樹は何も気にはしなく"俺よりも友達いるんだぁ。。。"と思い知らされていた。



その連絡をしたことによって後に眞樹と柚乃、そして夢乃達に大波乱が起こるとも思わずに、、、

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