第4話



「ななちゃんが帰るまで付き合うよ?」


「いやでも…」


「ななちゃんと一緒にいたいなー」



先輩はそう言ってにっこり笑った。



「先輩、それ、ダメなやつです…」



私は、多分赤くなったであろう顔を両手で隠した。



「え?なにが?」



…聞き返さないでー!


そんな笑顔向けられて、惚れない女子なんていませんよ?!


先輩は今すぐ自分の顔を鏡で確認して来て下さーい!


なんて言えるはずもなく。



「なんでもないです」



私はそう言って何事もなかったように真顔を作って、次の問題にペンをはしらせる。


すると今度はそのペンを持つ手に先輩の手が重なった。


またまた背筋がピーンと伸びる。


びっくりしすぎて変な汗出たんですけど…!


今度は何事かと思って顔を上げる。



「だから、もう勉強よくない?」



気だるそうに言う先輩は妙に色っぽい。


いや…この状況…。


本当に心臓によくない!



混乱してなんて言っていいか分からなくて。


口をパクパクしている私を見て微笑む先輩。


相変わらず妙な色気を放出している。



「ななちゃんにもっと近づきたいなー」



……。


さっきからどうしちゃったの、先輩。



「いや、じゅうぶん近いです」


「もっとだよ」



先輩はそう言って覆っていた私の手をギュッと握った。




もう…。


先輩のせいで…。




明日のテストは赤点です…!






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【短編】もっと近づきたい。 咲倉なこ @sakura-nako

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