第三話 第三次 川中島合戦(上野原の戦い)

 1557年、信玄は三度北信濃に攻め上がった。この前に謙信(景虎)は仏門に入ると言って隠居(引退)する意向を示した。越後国を平定はしたものの、国内で不協和音が絶えないので示しがつかない事をその理由に挙げている。

 しかし、謙信にはもう一つ考えがあった。自分が隠居したら取り巻きや民衆が困るだろうから再度元の鞘に戻ってくれと言うだろうという、ある意味「下心」があった。

 謙信の読み通り、最終的には長尾政景に慰留され「周囲からそう言われたので隠居を取り下げます」という形になった。

 すると和睦を破った信玄は、高梨政頼の領地である高井郡まで攻め入って来た。謙信は隠居騒動の後、信玄の暴挙を止めるという「大義名分」の元信玄と対峙した。


(謙信)やっと越後国を平定して順調に来たのにさぁ、また信玄が来て地元を荒らすから助けてくれって言われて戦って。おまけにその間に地元のみんなの意見がばらばらでまとまらねぇし。マジやってられねぇ。もう武将やめよっかなぁ~。信玄のやつしつけぇんだよ。

(長尾政景)謙信よ、そんな事でへそを曲げないでくれ。お前には頼りにされている越後国衆がいるだろ?やっと平定したのに、もったいないじゃないか。

(謙信)そうは言うけどさぁ。地元と被戦側の平定っていう二足の草鞋を履くのは結構大変なんだぜ?ああ、そう。あいつ、あれ?誰っだったっけ?大熊朝秀だっけ?あいつ信玄側に寝返ったし。マジ信じられん。

(政景)まぁそう言う事もあるさ。だが、この窮地を救えるのは謙信、お前だけだ。民衆にはちゃんと伝えておくから武将として頑張ってはくれないか。

(謙信)そこまで言うなら仕方ねえな。「政景や越後国衆がそう言った」体でいいんだよな?それなら受けよっかな。

と言うお家騒動?があった後、信玄の北信濃攻略が始まった。雪残る3月であった。


(高梨政頼)謙信さん、また信玄のやつ攻めて来たよ。助けて!

(謙信)信玄の野郎、今度ばかりは許すまじ!和睦を破って攻めるとは!って言う理由でいいかな?今回の遠征理由。

(政頼)は?何言っちゃてるんですか?私が助けて!っていうのは出陣理由で無いんですか?

(謙信)ん?まぁ。それもそうだが、ちょっと弱いじゃん!理由として。

(政頼)そんな事言ってると信玄が、くる~!

(謙信)そんな事言ってっから踏ん切りがつかないんだろうが。

(政頼)じゃぁどうすれば・・・

(謙信)「信玄がとんでもねえやり方で信濃を手中にしようという不義の企みをおれが義をもって俺が討伐する!」ってのはどうかな?

(政頼)いいですね!それで行きましょう!(どうでもいいけど早く助けてよ)


 信玄は仮に謙信が攻めて来ようとも出陣できない時季、雪残る3月を敢えて選んだ。そして北信濃の島津氏と北信濃国衆を従えて攻め入った。

(信玄)島津殿、今回は流石の謙信とはいえ、冬場では持ち前の機動力は落ちますな。

(島津)そうですとも。直ぐにはこちらに来れますまい。

(信玄)あはは、そうであろう。その間にこの北信濃を制圧してやろうぞ。

(島津)そうですな。がははは。


 4月の雪解けと同時に謙信は「信玄討伐」の大義名分を携えて峠を越した。

(謙信)雪解け待ってたぜ!信玄、首でも洗って待ってろ!

(政頼)待ってましたよ、謙信さん!信玄はもうそこまで来てます!

(謙信)任せておけ!今度こそ信玄の野郎をぶっ倒す!

(信玄)お?あれ、謙信じゃね?来やがったか。この坊主野郎!でも、悪いが今回の俺様には作戦があるんだな~。名付けて「暖簾に腕押し」作戦!

(謙信)おい、話が違うな。信玄のやつ、そこまで来てんのに軍勢が引いていくぜ?どうなってんだ?

(信玄)あはは、今回はお前とは戦わん。

(謙信)なにぃ?俺が峠を越して来たからビビったか!この腰抜けチキン野郎が!

(信玄)ああ、何とでも言えばいいさ。でもそういう作戦だから。じゃぁねぇ~

(謙信)くっ。折角山越えしたものを!


 信玄は謙信が攻め入ると拠点を引くという策略を繰り返し、まともに謙信と組み合わないまま終結した。

 その後、将軍足利義輝の要請で両軍とも兵を引くに至った。兵を引く見返りに信玄は「信濃守護」に任ぜられ現在の松代城がある「海津城」を築城し、北信濃の拠点とした。一方、謙信は庇護していた上杉憲政から「関東管領」の職を譲り受けた。

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