第5話 綺麗なおっぱいです。

…広場で胸元を押さえ隠しながら

駄目だもう今更震えて泣いた所で仕方ない。

そう気持ちを切り替えようと奮起させるため

頭を軽く振ってあご髭をみすえ


「あーうるさい、乳乳!うるさい!」


声が震えてるけど仕方ない、夢だ、夢!夢なら

ハッタリでもカッコつけるのも有りだ。

自棄気味やけぎみに自分を奮い立たせて見た。


「おばさんの乳がそんなに見たいか!」


仁王立ちして精一杯、

腹の底から震えながらも叫んでやった。

多分、かなりカッコ悪い……。


「ん?」


あご髭団がまた不可思議な顔をしたが

急に口を開けポカンとして

目線がゆっくり上に……

遠巻きの人々も同じ顔で目線は上?


「ブッハハハハ〜〜‼︎」


文字ならこうだけど

耳には爆音でビリビリと背後から響いて来た。

何?と怖いけど笑っているから大丈夫だろうと

震えながらも振り返ってみたら

首がギュンと前に戻したくなる程、

ありえない者がいた。


オレンジ色に照らされた……


ありえない、ありえない、見間違いだよね?と

もう一度、ゆっくり後ろを向いたら

目の前にデッカい鼻先が!


「ひぃー」


ドラゴン‼︎⁇

駄目だ!喰われるか?炎で焼かれる?のか

空想の生き物じゃなかったの⁉︎

非現実と頭の中で叫ぶも目の前の現物にパニック

を起こして頭が痛くなるし、さっきから心臓の動

きが滅茶苦茶なんだろう息が苦しい。


「ひぃー、は無いだろう。ブッフフフフッ。

ん、リヨン居たのか」


喋るのか!笑うのか!

脳内にパニックメーターが有ったら針が

ブンブン振って大変な状況だと思う。


名前の誰かは誰なんですか?


混乱したまま何だか親しげだけどと振り返って

倒れたくなった…。

何故か、あご髭団の背後に甲冑とか関係無く体

格のいい軍団が増えてる事に目眩と自分の人生

終わりを感じたのだ。


もう、早く目が覚めて!


これは夢だからと両目を閉じて頬を両手で

バシバシ叩いて痛い、目を開けたら、

やっぱり居るのは甲冑の団体様に、

電線の無い夕焼け空、そしてドラゴン……。


私、そんなゲームやった事ないんだけど、

いや、映画の観過ぎか?何で何で!

頭抱えたら良いのか胸を抱えたらいい?と胸を

出したままにパニックが止まらなくなっていた。




オーティ絡みの騒ぎに駆け付けたら一体何事な

んだ?胸を露わにした女が挙動不審なのは

分かったが……。


「さて挨拶はさて置き、ディアーブル。

この状況を説明してくれ」


リヨンが困惑気味にそれぞれに目を向けて咳払

いする、ディアーブルことドラゴンがため息混

じりに静かに声を出した。


「オーティの野郎が俺に気付かず殺そうとしや

がるからな後でチビらせてやろうとしてたら、

綺麗なねーちゃんが助けに出て来たんだよ。

今時、居ないよなぁ」


固まって呆然としている女の隠し忘れた左胸を

下から爪でフニフニと持ち上げてきた。


「えっ」


「イイ乳だ、綺麗だろう?

俺に人間みたいな手が有れば触りたいんだがな、

とりあえず、気に入ったから唾付けとくな」


胸触られてる?いや突いてるけどどうしたらいい?

パニックが収まらないままの所に

ドラゴンが首を伸ばして胸の先からあご髭に

斬られた胸元の傷までを大きな舌でベロンと

横からゆっくり舐め上げられた。


「んんっ」


「ん〜滑らかな肌に傷つけやがって、

ん?感度もイイのか?益々気に入った」


周り何気に赤面。

甲冑軍団も何気に赤面。

「うん、イイ乳だ」

誰が堪らず声に出してしまった。


混乱して硬直するも何とも言えない感触の舌に

反応して妙な声を出してしまったから…

その一声にブツンと何かが切れた音がして、


「この、スケベ!珍獣が‼︎」


右手の握り拳をドラゴンの鼻先にゴッと当てて

女は手をひらひらさせた。


「いだい‼︎」


「うおっ、ドラゴンを素手で殴った!」


遠巻きの人々もざわつき始めたが左手でも殴ろ

うと頑張る女の手首を誰かが握って止めた。


「落ち着け、まずは胸を隠さないか?」


それはリヨンだった、優しく声をかけながら自

分のマントを女の肩に掛けながらドラゴンに向

かって


「オーティの事は分かったが

彼女は人間だ、辱めるのはどうかと思う。

変幻の訓練は他所でやれ」


ディアーブルは溜息をつき。


「上手く変幻するには人間の目で確認しないと

分からないんだよ、辱しめたつもりはないんだ

が、つい…わるかったな。」


女に向かってこうべを垂れた。

その行動にびっくりしながらも

手でそっと鼻先を撫でながら


「私もごめんなさい」


「怖くないのか?」


リヨンが女を覗き込みながら聞いた。

黒い髪に眼の色も闇の様な女だ

肌も白く、異国人だろうか

貴族では見かけた事もない顔立ちだが

美人だ…どこかで……。


女の唇が何か言いかけた所でグラリと

女は足元から崩れた。

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