第3話 男子って、です。

他国からの侵略を無事食い止め、

報復も当分出来ないほど打ちのめした。

部下も皆、無事凱旋出来た事に安堵を隠せない

隊長の元に若者が駆け寄った。


「リヨン・ジョンヌ様、

今日は皆に褒美が有るとか。」


若者らしく爽やかでくったくなく期待を込めた

笑顔で聞いてきた。


「ブルエ、リヨンでいい。

褒美はグリシーヌの案で良いのだろう?

今更確認の必要は無い変更も無い、安心しろ。」


と呆れ気味に笑うと頬を赤らめたブルエが


「ありがとうございます!」


と元気に仲間の元へ駆け戻っり皆に伝えると

大いに盛り上がり皆がはしゃいでいるのを

リヨンは静かに眺めていた。



国王への報告がそれぞれの団の

隊長と副隊長が終え。

あとは報奨金の受け取り待ちだった。


第5部隊の戦闘騎士隊を率いる

リヨン・ジョンヌは貴族の生まれで次男。

肩下まである癖のある金髪を束ねた横顔は精悍で

あり、体躯にも表れている通り屈強な男だ。

父親と兄とは仲は良いが母親が早くに亡くなり

幼いリヨン達の為に来た後妻とは彼だけ折が合わず、早々に家を出て騎士団に入り現在に至るのだ。


王城前の広場は其処彼処に甲冑に身を

包んだ男達の塊や馬だらけだ、

多分その場に居たらかなり臭いと思う。

城門前で部下を眺めるリヨンの背後に静かに

立った男にスッと肩越しから背後に

剣を向けたが鞘に入ったままだ。


「ベラドンとグリシーヌ。褒美の件、

無しにしてブルエ達に恨まれたいか?」


慌てたグリシーヌがナイフを仕舞い


「いやいや、まてまて、おどかす位

イイじゃないか〜楽しみの一つ、

娼館行き無しは勘弁してくれ」


と笑いながら束ねたハニーブラウンの柔らかな

前髪を撫でかき上げながらリヨンの隣に立った。


「相変わらずグリシーヌの子供じみた

イタズラは外れますな」


ベラドンは呆れながらため息をつく、

彼はグレーがかったサッパリとした銀髪の頭を

かきながらリヨンを挟むように隣に立ち


「止めたんですよ、僕は」


またため息をついた。



ブルエがリヨンの両横に

二人が並んだ事に気づき、


「本当に三人が並ぶとカッコイイですよね」


と若い女性がうっとりと眺める様に

見ていると隣の若者が、


「だよな、

リヨン様は金色の髪に眼光鋭い青い瞳、

鍛え上げられた身体に剣の腕は国一番だし。


グリシーヌ様は気さくな色男、

柔らかなウェーブの髪に可愛いく

愛嬌のあるブラウンの瞳、弓の腕前は最強。


ベラドン様はいつも冷静で

氷の様なアイスブルーの瞳だけどいつの間にか

助けてくれるナイフの使い手。


3人とも顔も身体も良いから誰に抱かれても

悔いはないって。姉が言ってた。」


周りが少し離れながら、


「ほんとか〜お前の本音じゃねえのー」


大爆笑する仲間に


「えっ、バレた?きゃー」


と顔を隠す振りしながら談笑する

隊員達は緊張感が抜けて大いに浮かれていた。

その輪に三人が近づき、リヨン達が


「さて俺は誰を抱こうか?」


「俺は両刀だから〜」


とグリシーヌがニンマリしながら言うと

数人がお尻を押さえて笑い出す。


「分かりました。

この報奨金は私一人で娼館で豪遊……」


ベラドンの背中にグリシーヌが飛び付き


「待て、まて!

本音は女の子だけでいいぞ!独り占め待て。」


「冗談ですよ」


と呆れながらため息をつき、

他の隊員達が爆笑している少し離れた場所で

副隊長の一人でもある年配のモーヴは笑顔で

その仲の良い隊員達をそっと見守っていた。

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