王国とギルド
はい。あっという間に翌日です。昨日は満腹になって眠くなった身体に鞭を打ち、だらだらとお風呂に入り眠りました。え?ラック?【烏の行水】っていう言葉をこれでもかと体現したような早さで上がりましたよ?
今日はとりあえずどっかの街を目指したいと思います。いや、さ?いくら便利な異空間倉庫・・・長いなうん。ほぼホテルだし、ホテルとよぼう。しょうがない設備がホテルなんだもの。いや、ホテル以上だけどね?
それは置いといて、せっかく異世界来たんだしちょっとくらい文化に触れようと思ったワケです。この前のワンちゃん─レッドウルフルズのこと─も売りたいし。種族間で差別などがあるのかも知りたいし、差別があるならどうにかしたいと思わなくもない。
正義感と言えば聞こえが良いが、要は余計なお世話押し付け過ぎればそれはただの迷惑になる。ええ、そこら辺は分かってますとも。
ホログラムマップで既に位置等は確認済みなのでいつでも出発できる。装備はちょいと変わりました。試しに武器庫って言ったら、それはもう沢山の武器がある部屋に跳ばされたんですよ。そしたら全部の装備がピッカピカで神聖そうなオーラが湯気みたいにたち上ってるんで感動通り越して呆れました。
刀だけでなく片手剣、両手剣、弓、槍、薙刀、短剣、杖、両手斧に片手棍、盾も有りましたね、モーニングスターも鎖鎌、分銅も。挙げればキリが無いのでここで止めとくけど本当に月詠命は馬鹿なんじゃないかと思ったのは鍬を見て、なんで農業用道具が武器庫にあるんだよっ!
ん"ん!(咳払い)その中から私は細かい投擲武器と短剣と黒の革手袋、そして何故かあった狐の黒い面を選んだ。投擲武器やポーションは腰のポーチに、短剣はそれ用の革ベルト(黒)に黒い面は頭の側面につける。完璧に不審者装備だと自分でも思う。
というわけ(どういうわけというツッコミは無し)で楽しい楽しい冒険の開始である。
スタート地点は昨日ホテルに入ったところから、目指すは北側のロイス王国。元は厳しい山々に細々と集落があったのだが、魔物が集団で襲ってきた折に小さな集落は団結し、それを撃退。その時、彼らを率いたガッロ・ロイス村長が中心であった事からこれからも団結しようと発足したらしい。
ってことでドン!ロイス王国です。行く過程?走るだけなのでこれと言ったことはなかったのでパス。ただ、途中にいた枯れ木の怪物が邪魔だったので刀でサイコロ斬りにして呆気なく通過したくらい、近くに人がいた気もするけどきっと気のせい。
山の麓に広がる大きな城門と城壁。城壁のまわりは深く広い溝が掘られ、街と外を繋ぐのは大きな桟橋のみ、城門には衛兵がいた。
いざ、街に入ろうと踏み出すが
「すみません、ここって冒険者支援ギルドってありますか?」
と、その前に質問。冒険者支援ギルドとは依頼を募集しランクごとに分けたりする場所だ。
ゲームで出てくるものと変わらない。らしい。
【教えて!思兼神せんせー!】(←スマホの検索アプリの名前)参照
「もちろん、入って直ぐの所だ。というか、もう見えるだろう?」
「あっ、その建物ですか?」
「そうだ。じゃあ、楽しく過ごしてくれ」
「はい、ありがとうございました!」
顔はゴツイがいい人だった。顔怖いけど。
今度こそ街に入る。たった一歩踏み出しただけで賑わいが違う。大通りであろう大きな道には露店が出ておりその前を馬車や人が行き交う。気前よく大きな声をだし、周りの店に負けないようにとアピールする様は前世では見られなかったモノだ。
露店をじっくり見て回りたい気持ちをぐっと堪えて堂々と店を構えるギルドに入る。
中は人で溢れていた、所狭しと並べられた丸テーブルを囲み昼間から飲む者はもちろんカウンターでギルド職員らしき人と話し込む者、薄暗い店内はいかにもそれっぽく、否応なしに私をドキドキさせた。
突っ立っててもしょうがないのでカウンターへと近寄る。
「すみません、冒険者になろうと思ってるんですが・・・」
「初めての方ですね?」
「はい、何か条件とかあったりしますか?」
「いえ、特にはありませんよ。幼子からご老人まで我々ギルドはいつでも好奇心の味方です。登録料は戴いちゃいますけど」
「そうですか、良かったです。いくら必要ですか?」
「1500ロンです。」
「えっと、はい。ちょうどだと思います」
「確認致します。・・・はい。ピッタリです。それではこちらをお受け取りください。」
「指輪、ですか?」
「はい。一見ただの指輪ですが、手の甲をタッチしてみて下さい。」
渡されたのはシンプルだが、中央に青色の宝石を埋め込んだ物だ。とりあえず、言われたとおりにしてみる。
「え?」
「今、きっと見えているであろうものがステータスです。左上の数字がレベルで中央にランクがその下に取得済みのスキルと討伐した魔物も確認できるかと思います」
「・・・はい。確認できました。」
「これが、冒険者にとっては身分証となります。個人設定によって相手に見せる事ができる部分を決めることができます。」
目の前にはスケッチブック程のパネルがあり、説明通りに数字や文字が刻まれている。ご丁寧にナットの様なマークの設定画面まであるのだ。すっげ。
「べ、便利ですね。」
「あ、チェーンは入りますか?指輪に通してネックレスのようにして持ち歩く人もいるんですよ。」
「あ、じゃあもらいます。」
「どうぞ、指輪とチェーンは不壊属性が付与されているのでお気にせずに冒険を楽しんで下さいませ。」
「はい、ありがとうございました。」
「よい冒険者生活を。」
謎の技術に圧倒されながらどうにか冒険者としてのスタートラインに立つことが出来たのだった。
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