仲間

八咫烏は月詠命の眷属で魔物と間違えられて討伐されそうになって命からがら逃げてたらついに力尽きて、あの場所にたどり着いたらしい(月詠命談)。

 そして今──


「分かったから、ガン見しないこれは私の分、そんなにがっつかないの。そう、そして食べ物を箸でつつかないで」

「・・・・もぐもぐ」ジー、コク


──目の前には美少女ロリ。つまり、美幼女が座っている。

では、ここまでの経緯をどん!



────────────────────


「は!?何であんたここにいんの!?てか、今影から出てきたよね?影に入れるのは従魔契約を果たした子だけのハズでしょ!?」

「・・・カァー!」


 吹き出た疑問を返せるハズもないと知りながらこの烏にぶつける。すると、どうだろう。

何言ってんだコイツ?とあからさまに呆れたような目線で返してきた。こんにゃろ~!

『ピロン♪』


「こんなときに何の用だよ?威厳なし神」


 ちなみに月詠命への評価はこの短時間で下落したのであった。悔しければ自分を省みてほしいものである。 


moon

『僕に当たりがキツくないかな!?』


「どうせ見てるんでしょ?

 ・・・さっさとしろ」


moon

『はい。ごめんなさい』

『えっと、その八咫烏は僕の眷属でして。

少々そちらへお使いをしてもらっていた所でした。』

『契約については君がボソボソと何かを呟いているときにこの子がちゃっかり契約の円陣を書いてました』


「えぇ・・・。私の同意無しで?」


moon

『いいや違うよ。君はしっかり同意した。』


「は?いやいやいや、でも・・・」


moon

『ほら、君さっきブツブツいってたじゃん?その時にさ「わかった」て言ったんだよ。そしてしっかり契約は果たされたのさ。』

『良いじゃないか。君が世界で初めての八咫烏を従魔にした人間だよ!おめでとう!』


「おめでたくない!てか、この子名前は?」


moon

『ああ、それは君がつけてね。僕の方じゃ名前をつけようにも多すぎてムリなんだよ』

『じゃ、ソユコトで!( `・ω・´)ノ ヨロシクー』


「マジか・・・。まじか・・・・・・」


 本当にいい加減な神だなと思っていると肩に件の八咫烏がとまった。


「・・・・」

[・・・・・・]


無言で八咫烏とにらめっこする。


「・・・・・・」

[・・・・・・・・・]

「・・・・・・・・・・」

[・・・・・・・・・・・・カァ!]

「・・・わかった。負けだよ負け。だから、君が脚に込めてる力をもう少し抜いて!」


 そう、この烏、あろうことか実力行使に出てきた。本当に頭が良いヤツである。


「よし、それくらいならオッケーだよ。にしても名前ねぇ・・・」


親友達よりはネーミングセンスはあるものの、自信など皆無な私に名を付けろとは・・・。

この子が可哀想ではないか!


「んー、じゃあ幸せが来るようにってことでラックで!よろしく、ラック」

[カァ!!]


 ひときわ強く鳴くとラックの身が黄金の光で包まれた。見ていると徐々に小学生ほどの人形を形成していく。

 眩しくないのか?って?はい、こちらも強化済みで太陽を直で見たら黒点とか見えました。やったね!これでカメラのフラッシュも克服できたよ!今さら遅いけど。


「・・・何この子めっちゃ可愛いんですけど」

「・・・・・・」


 フォームチェンジしたラックはとてつもない美少女だった。って、服!


「えーと、指で四角を描いて、そこへ手を掲げる・・・。っと、おお!」


 何もなかった空間に扉が出来た。


「ラック、中に入るよ。」

「・・・・・・」コク


 首肯したのを見届けガチャリと扉を開き、ラックが中に入ったのを見て閉める。


「へー、こんななんだ。」

「・・・・・・」


 中は高級ホテルの廊下の様になっており、先が見えないほど廊下は長く。そこには幾つものドアが並んでいた。

 そして、目の前の扉をよく見ると金の板に【衣服保管所】と刻まれている。有難い。


「・・・・・・パーカーとジーンズだけで良いって言ったのに・・・。」


 中にはここは洋服屋さんか!と突っ込みたくなるほどの量とサイズと種類の衣服が体育館ほどの広さの部屋に目一杯掛けてあった。


「・・・・・・はっ!そうだ早くこの子の服を!」

「・・・・・・?」


 適当に下着やらなんやらを身繕い、着るように促す。


「・・・・・・これで、いい?」

「おぉ・・・!うん、似合ってるよ!美少女はやっぱ違うね~!」


 ん?私?私は自分で言うのもなんだけど可愛いよりカッコいい、かな?見た目だって男子と間違われやすいし。我が親友からはボーイッシュとの評価を頂いた。

 ラックは黒いパーカーと黒いフリフリのミニスカ?を着ている。ラックは髪が黒いのも相まって全身黒だが、肌が真っ白なので多分問題ナッシング!(謎理論)


「そういえば、外ってもう夕方だったよね」

「・・・・・・」コク

「んー、じゃあ廊下に一旦出てみよう。あれだけドアあったからキッチンとかベッドルームとかあるでしょ」


 チラッとしか見てないが右隣の部屋はアイテム倉庫と書いてあった気がする。

廊下に出ようとドアノブを握った時『ピコッ!』とスマホがなった。月詠命からの通知ではない。


「えっと、固有部屋の説明?

【ここでは、様々な部屋が有ります。それこそ、アイテム倉庫から宝物庫、庭園に娯楽施設、あなたの望みに応じて色々です。しかし、先程見た通り、廊下はどこまでも続き移動がままなりません。そこで、転移システムを設置しました。衣服保管所に入ってすぐの右側に銀のリングがあると思います。それを利き手の手首に着用してください。】

えっと、これね。」


 リングを手首に填めると手首がキツくなく丁度良いくらいに収縮した。


「【填めましたでしょうか?

それでは試しに今必要な物を思い浮かべてください。そして、こう言いましょう。】

──転移!」


 景色が一瞬で変化する。ラックはしっかり手を繋いでいるのでノープロブレムだ。当たりが良い匂いで満たされる。


「お、美味しそう。料理してないのにもう出来てる。量も多い。」

「・・・・・・ぐぅ~!」キラキラ


 ラックもお腹が空いているようでお腹の虫を泣かせながら豪華な食事をキラキラした目で見つめている。



「【食事はとある妖精達が作ってくれています。遠慮しないで食べて下さい。】

へー、有難いなぁ。ラック、食べて良いんだって!」

「・・・・・・!」


 こうして私はまたも予想よりも規格外な能力をもち、異世界初のご飯を食べた。

といっても、私が思い浮かべたのが和食だったからか、どうも異世界感には欠けていたが。

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