第23話

 ここでもポピは久しぶりの対面によろこびを隠すことなく、マキちゃんとロンに甘えます。

「リサちゃん、よかったね、ポピが元気になって」

「うん。でもまだ足にちからが入らないからあまり長く歩かせられない」

「でもすぐによくなるから、心配いらないよ」

「そうだといいんだけど」

 ふたりが話している間に、ポピがロンのそばにまるでこれまでのことを話しているかのようにピッタリとよりそっています。

 お兄ちゃんはマキちゃんとなにか話したいようでしたが、リサちゃんの話が終わりそうもないので、少し離れた場所で腕を後ろで組みながら黙って聞いていました。


 リサちゃんは毎日少しずつ散歩の距離を長くするようにしています。でもやはりポピはびっこをひいたままです。そのたびになんとかポピの足をもとどおりにする方法はないだろうか、と心を痛めます。

 ある日の晩のことでした。みんなでテレビのペット番組を見ていたとき、ふと思いついたことがあります。それは、以前同じ番組のなかで、脊椎を損傷して歩けなくなった犬を、飼い主の女の子が、献身的にマッサージをして、やがて少しずつ歩けるようになった場面を思い出したのです。

 リサちゃんは番組が終わるのを待ち切れずに、押入れのなかに頭を突っ込んで、ビデオテープのしまってあるダンボールの箱を探しはじめます。

 ようやく見つけたリサちゃんは、ママに頼んでテープを再生してもらいます。早送りでその場面を見つけると、何度も巻き戻して同じ場面を見つづけました。

 そしてポピのそばに座ると、ママにいわれてベッドに入るまでの時間ずっとポピの足をマッサージしたのです。

 リサちゃんのマッサージは、毎日散歩から戻ったあとつづけられました。

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