第22話 献身

 病院から戻ったポピは、足が完治するまで庭の犬小屋ではなくて、前と同じように家のなかで飼うことになりました。

 でも庭に戻るときのことを考えると、ベッドで一緒に寝ないほうがいいということになり、リサちゃんはちょっと淋しかったけど、ポピのことを思ってママのいうとおりにしました。

 いくら退院して来たからといっても、いままでのように散歩に出かけるわけにはいきません。あと1週間すればギブスが外れるのと、ポピも傷口が気になるのか、足を引きずりながら歩くので、散歩の加減がわからないということもあって、しばらくは家のなかでリハビリをすることになりました。

 リサちゃんはさっそくポピのことを心配してくれていたマキちゃんに電話をします。

「ポピが退院したの」

「よかったね。これからまたロンと一緒に散歩ができるね」

 マキちゃんはまるで自分のことのようによろこんでくれました。

 そして1週間後、ポピのギブスが取り外され、もう散歩をしても大丈夫だよ、とお医者さんから許可が出されました。

 次の日からリサちゃんはこれまでと同じようにポピを散歩させます。

 学校から帰ったリサちゃんは、お兄ちゃんと一緒に前と同じ道順で散歩に出かけます。

 久しぶりだからか、ポピは一生懸命土の匂いを嗅ぎ、草を匂い、投げ捨てられたコーヒーの空き缶に興味をしめしつつびっこの足でゆっくりと歩きます。

 その後ろ姿を見ながらリサちゃんは、ポピのことが少しかわいそうに思いました。

(あのことがなければ、もっと自由に歩くことができたのに……)

 すると向こうからマキちゃんとロンの歩いて来る姿が目に入りました。ポピも同時に気がついたようです。グンとリードを引っぱっていち早くロンに駆けよろうとするのですが、あと足にちからが入らないためによろけそうになっています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る