第20話 再会

 リサちゃんにとってこの10日間は、1年と同じくらいの長さがありました。

 10日の間には、ほとんど毎日ように顔を会わせていたリサちゃんが突然姿を見せなくなったので、心配になったマキちゃんが家まで来てくれたこともありました。

 駆け足で学校から帰ったリサちゃんは、蹴るようにして運動靴を脱ぐと、大きな声でママを探します。

「ママ、病院から電話あったァ?」

 リサちゃんは毎日カレンダーに×印をつけて、きょうという日を楽しみにしていたのです。

「あったわよ」とリサちゃんの近くに来て笑顔でいうママ。

「ほんと?」

「ほんとよ。いまからポピを迎にいくから、ランドセルを置いてらっしゃい」

「はーい」

 家を出たママとリサちゃんは、足早に病院に向かいます。いまにも雪が降って来そうな空模様でしたが、いまのリサちゃんにはそんなことまったく関係ありません。少しでも早くポピの顔が見たいのです。

 病院の玄関を入ってスリッパに履き替えると、予防注射の順番を待つときのように、胸がドキドキしてきました。

 ドキドキ感は名前を呼ばれて診察室に入るときがピークでした。ところが診察室に入ってしまうと、自分でも不思議なくらい普通に戻っていました。

 さあ、いよいよポピとの再会です。リサちゃんは、ふとポピがちゃんと覚えてくれているか心配でなりません。

 でもそれはよけいな心配でした。看護婦さんが隣りの部屋からポピを抱いて現れたとき、とても不安げな顔をしていました。ところがママとリサちゃんの姿を見つけると、看護婦さんの腕から跳び出そうなくらいによろこんだのです。

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