第15話 事故
それは突然の出来事でした。
夕方少し前、風が強かったのですが、ポピが散歩に行きたがっていると思い、散歩用のリードに換えると急いで家を出ました。
5メートルも歩かないときに、突然砂まじりの風がリサちゃんの顔のあたりを襲いました。砂が目に入るのを避けようととっさに顔をそむけたそのとき、なにを思ったのかポピが勢いよく走り出したのです。その瞬間リードが手袋の左手からするりと離れてしまったのです。
「ポピ! だめ! ポピ!」
リサちゃんは大きな声で呼びながらポピを追いかけます。いくら小さいとはいえ、走ればリサちゃんよりうんと速いために、ポピはどんどん小さくなっていきます。
それでも必死で追いかけるリサちゃん。
すると前方からスピードを出した車が走って来るのが目に入りました。
「ポピ! 戻って!」
車は、ウインカを出してスピードをゆるめないまま左折しようとしています。
キャイーン
甲高い悲鳴があたりに響きました。
ポピが走って来る車に跳ねられてしまったのです。慌ててリサちゃんがポピのそばに駆けよったときには、車はずいぶんと小さくなっていました。
「ポピ。ポピぃ」
リサちゃんは一生懸命に呼びかけるのですが、苦しそうな顔で横たわったポピは、足をバタつかせながら悲しい声で鳴くばかりでした。
ぼうぜんとしているリサちゃんのそばに、たまたま通りがかった買い物帰りのおばちゃんが心配そうな顔で、家までつれてってあげる、と声をかけてくれました。
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