第7話 みかん畑

 リサちゃんの大好きな夏休みがやってきました。ようやくポピを散歩させることができるからです。それと、朝から晩までずっと一緒にいられるので、前からずっと楽しみにしていました。

 リサちゃんは毎朝早起きをして、新しいリードをつけて散歩させるのが楽しくしかたありません。はじめは散歩のさせかたがわからなくて、ママと一緒に散歩させたのですが、いまではお兄ちゃんと出かけたり、ときには自分ひとりで行くこともあります。

 今度はママとの約束をちゃんと守って、夏の暑い日も、風の強い日も、小雨の振る日もポピを散歩させています。

 ポピの散歩のとき、思いがけなく友達ができました。リサちゃんの家からちょっと離れたところに住んでいるマキちゃんという同じ小学校の4年生の女の子です。マキちゃんの散歩させている犬はポピよりもひと回り大きな茶色のミックス犬のメスで、名前は『ロン』といいました。

 仲良くなったきっかけというのは、はじめて会ったにもかかわらず、ポピがロンになついたことがそもそもでした。

 散歩の時間が同じなので、ほとんど毎日のように道で会います。そのたびにポピはまるで母犬のようにロンにじゃれるのです。以来道で会うたびに、少しずつマキちゃんとおしゃべりをするようになり、それがもとでこれまで2回ほどマキちゃんの家に遊びに行きました。

 ロンは家のなかではなくて、玄関の横の庭に小さな犬小屋をもらって飼われてました。ポピもゆくゆくは庭で飼うことになっているのですが、まだ小さいので、ママと相談して夏が過ぎるまで屋内で飼うことにしました。


 リサちゃんには、この夏休みにもうひとつ大きな楽しみがあるのです。それは、静岡のジイジとバアバにポピを見せに行くことでした。

 電話でポピのことを話したことがありますが、まだ写真は見せてないので、夏休みに帰省をかねてみんなで行こうということになったのです。

 本来ならお盆に帰るのがいいのですが、パパの仕事の都合がつかなくて8月のはじめと決まりました。

 その日パパの運転する車で朝早くに家を出ました。高速道路をひたすら走り、3時間ほどでバアバの家に着きました。

 リサちゃんはさっそくジイジとバアバにポピを紹介しました。もちろんポピはかわいかったのですが、どちらかというと、ジイジもバアバもポピよりもお兄ちゃんとリサちゃんの顔が見たかったようです。

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