第6話

 しばらくしてパパが写真を手にしてリビングに戻って来ました。リサちゃんは奪うようにすると、こぼれそうな笑顔で写真に見入ります。何度も同じ写真を見たあと、好きな順に並べてママのところに持って行きました。

 部屋の壁にポピの写真をはりおえたリサちゃんは大きな声でママに聞きます。

「ママぁ、ポピ散歩させてもいい?」

 ポピの面倒をみると約束したからです。ところが、帰って来たのはママの意外な言葉でした。

「ポピの散歩はまだだめよ」

「ええッ、なんでェ」

 リサちゃんはなぜ散歩をさせてだめなのかわかりません。

「だってポピは産まれたばかりだから、もう少し足がしっかりしてからじゃないと散歩はさせられないのよ」

「そっか」

 散歩させようとはりきっていたリサちゃんは少しがっかりしました。

「じゃあいつになったら散歩いい?」

「そうね、夏休みくらいだったらいいかも」

「わかった。それまでお家のなかでポピと遊ぶ。早く夏休みがくるといいなァ」

 リサちゃんは両手をポンポンと叩きながらポピの箱をのぞきました。

 ポピは遊び疲れたのか、お腹で息をしながらすやすやと眠っていました。

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