第5話 モデル

 ポピがリサちゃんの家に来てから1週間が過ぎました。

 日曜日の朝、早起きしたリサちゃんはリビングでポピと遊びながらパパの起きて来るのを首を長くして待っています。パパに頼みたいことがあったからです。

 それは、パパのデジカメでポピを写すことをきのうベッドのなかでふいに思いついたのです。

 スリッパの音がしてようやくパパが寝室から姿を見せました。ソファーから跳び上がったリサちゃんはさっそくパパにお願いします。

「パパぁ、リサ、デジカメかして欲しいの」

「いいけど、なにを写すんだい?」

 新聞をひろげながらパパは聞きます。

「ポピ。ポピを写して、それをプリントして、お部屋の壁にはるの。そいで寝るときにおやすみっていうの。ポピの写真と一緒に寝たら、ひょっとして夢のなかに出て来るかもしれないしィ」

 ポピが好きでならないリサちゃんはパパに一生懸命説明をしました。

「そうか、じゃあ朝ごはんがすんだらパパとポピの写真をとろう」

「わーい」

 リサちゃんは大きな声でうれしさを表現すると、ポピのそばに行って写真撮影のことを報告しました。


 リサちゃんはパパから写し方を教えてもらうと、カメラを立てにしたり横にしたりしてポピを写します。だが、そんなことのわからないポピは、カメラを持つリサちゃんにじゃれるので思うように写真がとれません。それでも20枚くらい写しおわったとき、外から戻って来たお兄ちゃんが、ボクにも写させてとカメラをかまえます。

「じゃあ、お兄ちゃん、ポピをだっこしたとことってくれる?」

 リサちゃんは急いでポピを胸のあたりに抱き上げます。

 ポピの撮影会が無事終了すると、リサちゃんはパパにお気に入りの写真を6枚プリントして欲しいと頼みました。

 写真ができ上がるのを楽しみにしながら、ポピを箱から出して遊びはじめました。リサちゃんが走るとおぼつかない足どりで必死になってあとを追いかけます。その光景はまるで母親にはぐれないように一生懸命走っているようです。部屋の隅まで走ると、今度は反対側でお兄ちゃんがポピを呼びます。するとうれしそうに尻尾を振りながらお兄ちゃんのもとに走りよって来ます。そしてお腹を見せて目一杯甘えるのでした。

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