第3話 仔犬
ママはパパにリサちゃんが飼いたがっている犬のことで相談しました。
リサちゃんはいまおもちゃが欲しいのと同じように犬のことを考えています。でも生き物を飼うということはとてもたいへんなことなのです。毎日のご飯の世話、ウンチやオシッコのあと始末、1日2回の散歩、人間と生活を共にするためのルール、病気になったときのことなど数え上げたらキリがありません。
仮に飼っている犬が15年生きるとしたら、その間ずっと面倒をみなければならないのです。小学校2年生になったばかりのリサちゃんにはとても無理なことです。そのことをリサちゃん話すのですが、犬を飼いたいばっかのリサちゃんはまったく聞く耳がありません。
そしてパパはママにこういいました。
「いまのリサにはなにをいっても無理なようだから、しばらく様子を見ることにしよう。そのうちにあきらめるに違いないから」と。
だが、犬を飼うことがあきらめきれないリサちゃんは、次の日もそのまた次の日も、ご飯を食べててもテレビを観ていても犬を飼うことをママに話します。でもママの返事はいつも同じでした。
日曜日の午後、みんなでスーパーに買い物に出かけることになりました。大きなスーパーで、いろんな店が数えきれないくらいあります。リサちゃんはパパとママが買い物をしている間、1軒のある店で待ってることにしました。
それはスーパーのなかにある「ペットショップ」でした。いちばんはじめに向かった先は、黒いトイプードルの入っているケージでした。
ガラス越しなのでさわることはできませんが、トイプードルはリサちゃんが気に入ったらしく、近くに来てしきりに前足でガラスをひっかいています。今度はリサちゃんを不思議そうに小首をかしげて見ます。そのしぐさはたまらなくかわいいものでした。
次に足を向けたのは、ミルクコーヒー色をしたチワワのいるケージです。産まれて間もないからか、まともに歩くことができない小さな体をこきざみに震わせています。その愛くるしい姿にリサちゃんは抱き上げてみたくなりました。
まだほかにも、ミニチュアダックスやフレンチブルドックなどの仔犬がいっぱいいます。リサちゃんの目にはどれもみな愛らしく映るのでした。そしてここにいる仔犬をこの間見た夢のように全部自分の家で飼えたらいいな、と思いながらママが呼びにくるまでの間ペットショップを歩き回りました。
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