第2話
「でもね、リサ、動物を飼うっていうのは、たいへんなことなのよ。リサにはわからないかもしれないけど、ワンちゃんは毎日散歩をさせなきゃストレスで病気になっちゃうの。だから思いつきで飼うということはワンちゃんにとってとてもかわいそうなことなのよ」
ママは、なんとかあきらめさせようと、リサちゃんを説得します。
「知ってる」
「毎日朝と晩に散歩させることなんかリサにはできないでしょ」
ママはピンクのタオルで手をふきながら言い聞かせます。
「じゃあ、毎日ちゃんと散歩させれば飼ってもいい?」
「だめ。だって、リサは約束が守れない子なんだから」
「そんなことないよ」
そう言ったリサちゃんでしたが、誕生日とクリスマスプレゼントのことを思い出したらそれ以上なにもいうことができませんでした。
リサちゃんはお兄ちゃんが学校から帰るのを待って、ママにいったのと同じことを話しました。
「そんなのだめだよ。だってテレビゲームのときパパとママに約束したじゃないか」
リサちゃんと3つちがいのお兄ちゃんは、ちゃんと約束を覚えていました。
「でも……」
リサちゃんは、ママやお兄ちゃんのいうことがわからないわけではないのですが、いまは犬を飼いたいことで頭のなかがいっぱいです。
どうしてもあきらめることのできないリサちゃんは、会社から帰ったパパに相談をします。でも帰って来た言葉はママと同じでした。
リサちゃんは、あきらめきれないままベッドに入ったのですが、やはり犬のことが頭から離れなくて、いつものようにすぐに眠りにつくことができませんでした。
ようやく眠りに入ったリサちゃんは、その夜すごく楽しい夢を見ました。
敷き詰めたようにタンポポの咲くお花畑をたくさんの仔犬とかけっこをしています。
リサちゃんのあとからコロコロとおぼつかない足どりで一生懸命にかける姿は、抱き上げて頬ずりしたくなるくらいかわいらしいものでした。
リサちゃんがお花畑で寝転がってると、どこからか集まって来たたくさんの仔犬たちが、リサちゃんの顔をペロペロとなめはじめます。くすぐったくて我慢できなくなったリサちゃんは、ゴロゴロところげ回って仔犬たちからのがれます。
仔犬たちは小さな足でどこまでもリサちゃんのあとを追いかけるのでした。
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