リサちゃんとびっこのポピ

zizi

第1話 約束

 リサちゃんは学校から帰ると、ランドセルを脱ぎながらキッチンにいるママのところに行き、突然こういいました。

「ママ、リサ、犬が飼いたい」

「えッ!」

 ママはリサちゃんが動物好きなのはもちろん知っていましたが、あまりにも突然のことに驚いてしまいました。

 小学校2年生のリサちゃんは、小さいときから動物が大好きで、ママに買ってもらった動物の図鑑や絵本なんかは、何度も読み返したために表紙がビリビリに破れてしまったほどです。

 その絵本はまだたいせつに本箱のいちばん下に置いてあり、いまでもときどきひっぱり出して読むことがあります。

 テレビもお気に入りの動物の出てくる番組は、ママに頼んでビデオにとってもらうので、録画ずみのテープがダンボールの箱にギッシリつめ込まれて、たいせつに押入れにしまってあるくらいです。

「ねえ、だめェ?」

「だって、リサはもうプレゼントもらったから、今度の誕生日まではお預けでしょ? ちゃんとママと約束したじゃない。忘れちゃったの」

「ううん、忘れてなんかないよ」

 確かにリサちゃんはママのいうとおり、誕生日にキティちゃんのぬいぐるみをもらい、クリスマスにはお兄ちゃんとふたりで遊ぶようにと最新のテレビゲームをプレゼントされたのです。

 リサちゃんはけして約束を忘れたわけではありません。ちゃんと覚えていたからなかなか言い出せなかったのですが、リサちゃんはリサちゃんなりの理由がありました。

 学校の友達がみんな犬を飼っているので、自分も飼ってみたくなったのです。毎日学校でみんなから犬の話を聞かされているうちに、自分もみんなと一緒に犬の話をしたいと思ったのです。

「ミキちゃんもタマキちゃんもみんな飼ってるの、だから……」

 リサちゃんはママの顔をまともに見ることができなくて、うつむいたまま話しました。

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