第12話不出来な学校 その3
頼人の所在を探すにしても、ヒントがないので虱潰しに探すしかなかった。花凛と紅蓮は刺客がいつ現れても対応できるよう、源石を握りしめながら教室を調べていった。
「いないなあ……うーん……」
ひとしきり教室を調べた後、花凛はため息混じりに言った。
「なんか、面倒なのよね。いちいち教室1つひとつを調べていくのって」
「音を上げるのが早いな。本当に助ける気はあるのか?」
紅蓮が疑わしそうに言うと、花凛は少し膨れて反論した。
「あるに決まってるでしょ。あたしはちまちまちまちま、やってくのがイヤなだけなの」
「そうか。だが、ちまちまやるしか方法はないから、嫌でもやれよ」
「分かってるけど、でもさあ……」
花凛が愚痴を言う前に、紅蓮は廊下に出て行った。少しくらいストレスの発散に付き合ってくれてもバチは当たらないのに、と思いながら後を追った。
「こういう時に杏樹がいればなあ……発信器とかでささっと見つけてくれるんだろうなあ……」
しょうがなく冗談のような独り言を呟いた。紅蓮に言ったつもりはなかったが、聞こえていたらしく、反転して花凛を見下ろした。
「気になっていたんだが、なぜ御門は呼び出されなかったんだ?」
紅蓮に言われて、花凛はその疑問を思い出した。今までの事を振り返っても、杏樹が洗脳されているようには見えなかった。寧ろ、かなり好き勝手をしている人物である。それなのに、どうして杏樹は省かれたのだろうか。
「確かに。普通の生徒には理を使って、来ないようにしたんだったら、杏樹も学校に来てるはずよね……」
「まさか、理事長側についているとかないだろうな」
「うーん、それはありえないかな」
如何に杏樹が読めない人間であろうと、頼人に不利益な行動をするはずがなかった。頼人を洗脳なんてしてしまえば、頼人の人間性が死ぬことに等しい。それは杏樹にとって避けなければならないことだから、逆に阻止しようとするだろう。
「お前がそう言うなら、そうなんだろう」
「ん? やけに素直ね、紅蓮ちゃん」
「御門のことなら、お前の方が知っているからな。それを疑うわけにもいかん」
杏樹のことは花凛の方が知っているのは確かだ。しかし、それだけではなく、紅蓮も花凛のことを少しは信用しているというのも紅蓮が納得に至った要因でもある。言葉にうっすらと表れ始めたサインを、花凛は喜ばしく思った。
「ふーん、ふふふ」
「また笑いやがって。変なこと言ったか?」
「いーや、良かったって思っただけだから、気にしないで」
「まったく、調子が狂うな。とにかく、御門がこの場所にいないってことは確定だとして、今から学校に来てもらうことは出来ないのか?」
「あー、助けに来てもらうのね。杏樹なら事情説明したら、すぐに駆けつけてくれるだろうけど……」
花凛は苦笑いして言葉を続けた。
「あの子に連絡する手段がないのよね」
「ケータイの番号くらい知ってるんじゃないのか」
「うっかりしてたなあ。今まで必要だと思わなかったからさ、えへへ」
紅蓮の驚いたような、呆れたような表情に、花凛は笑って濁すことしか出来なかった。
しかし、紅蓮の提案は花凛に奇策をもたらした。
「ていうか、ケータイ鳴らせば頼人の居場所分かるんじゃない? それで本人が起きたら連絡も取り合えるし、やらない理由はないよね」
「まあ確かにそうだが……」
紅蓮の意見を聞かずに、花凛は早速電話を掛けてみた。コール音が長らく続いたと思ったら、突然ぷつりと切れた。不審に思いつつも、もう一度掛けると、今度は繋がりもしなかった。
「ちょっと、なんで繋がんないのよ」
「持ち物は没収されていたってことだ。もう地道に探していくしかないな」
「えー、せっかく良いアイディア思いついたのに……」
どうしても楽をさせてくれないようだ。花凛は気落ちして項垂れた。
「長話しすぎた。教室巡りに戻るぞ」
そう言って紅蓮は花凛に背中を向けた。花凛は下を向いたまま、前に進む紅蓮についていこうとしたが、急に紅蓮が止まって花凛は壁のような背中にぶつかった。
「いてっ、いきなり止まんないでよ」
「おい、気を付けろ」
背中を向けたまま紅蓮は一層低い声で言った。
「今更言っても遅いでしょ! それに長話しすぎたとか言ったくせに足止めるなんて……」
「違う。刺客が来たから気を付けろと言ってるんだ」
刺客と聞いて冷静さが戻ってきた。花凛は紅蓮の横に歩み出て、その刺客の姿を見た。
「あっ、あんたは戸張!」
「……どうも」
順番は違うが、2人は屋上で会った時と同じセリフをなぞった。
戸張は相変わらず目付きが悪く、髪もぼさぼさだった。しかし、それにもまして、花凛の目を引いたのは、腰にぶら下げている鍵束だった。
その鍵たちは銀色に鈍く輝く金属で出来ているようだったが、厳重な施錠を目的としていない、小さな出っ張りがブレードの先に付いているだけだった。それだけではなく、大きさも普通の鍵とは一目瞭然で異なり、削っていない鉛筆を一回り大きくしたくらいの見た目をしていた。それをいくつも束ねているリング状のキーホルダーも鍵と同じく金属で出来ていて、大きな鍵たちを束ねるのに適したものだった。
紅蓮が戸張のことを刺客だと言い切ったが、その理由は明白だった。紅蓮の隣に踊りでた時、紅蓮の肩に戸張の持っている鍵と同じものが突き刺さっているのを確認した。戸張は既に此方に向けて攻撃を仕掛けていたのだ。
「なんか胡散臭い雰囲気醸し出してたけど、そっち側の人間だったのね」
「仕事だから。悪いね」
戸張はそう言うと、鍵束から鍵を1つ外し、下から放るように投げてきた。
咄嗟に紅蓮が炎を出して防ごうとした。しかし、鍵は炎を難なく突破し、花凛の頭を目標に据えて飛んできていた。
反射的に躱すことは出来たが、鍵は次々と飛んできた。紅蓮が出した炎が戸張の姿を隠してしまっているので、余計に回避が取りづらくなっていた。それにも関わらず、紅蓮は炎を消そうとはせず、寧ろより燃え滾らせて、シャッターのように戸張との境界を遮断した。
「紅蓮ちゃん、意味ないからやめなって!」
「いや、これで良い。行くぞ」
紅蓮は飛んでくる鍵に気を付けながら、急ぎ足で後退していった。
「え? ちょっとどこ行くのよ。待ってってば!」
「逃げるんだよ、相手してられるか」
花凛も慌てて後を追った。紅蓮が行く先はちょうど階段があり、それを一足飛びで上がっていった。
「ねえ、どこまで逃げるつもり?」
「渡り廊下を通って第2校舎まで行く。今は奴から遠ざかることが先決だ」
2人は階段を上がりきり、3階に着いた。そして廊下を少し進み、もう1つの校舎に繋がる渡り廊下を通って、近くの教室に逃げ込んだ。
「ふう、おめおめと逃げてきたわけだけど、何か意味があってのことよね?」
ロッカーにもたれて座っている紅蓮を見下ろした。まだ紅蓮の肩には鍵が刺さっていて、痛々しさが目に見えるのだが、紅蓮は少し息が上がっているだけで、平然とした顔をしていた。
「正面から挑んでも、勝てないと思ったからだ。アイツの理は普通じゃない」
「普通じゃない……それ、やっぱ痛いの?」
花凛は鍵を指差して言った。
「いや、痛みはない。だが、最悪だ。肩から先が動かせなくなった」
よく見ると肘や手はだらりと垂れ下がっていて、役割を有していないようだった。
「ふーん、動かせなくなる理ってことか。ダメージ与える系じゃないのはいいけど、やっかいね」
そう言いながら紅蓮に近づき、鍵を握った。徐ろに引き抜こうとしてみたが、微動だにしなかった。躍起になって力を込めてみても、肩と一体化でもしてるかのように、抜ける気配はなかった。
「ダメだこりゃ。力ずくでは抜けないみたい」
「これだけ意味の分からん理だ。源石も限られている中、まともにやり合おうとするのは愚かすぎる」
あの一瞬の邂逅でそこまで冷静に判断していたのか、と花凛は素直に関心した。
「さっきは上手く逃げられたが、次はそうもいかないだろう。もし遭遇したら、その時はオレが囮になってやる」
「へえ、そこまで考えるんだ。じゃあお言葉に甘えちゃうね」
物分かりが良いというよりも無遠慮な言い方だったが、紅蓮は特に気にしている様子はなかった。
「それにしても戸張のヤツ、理事長の味方だったとはね。それともアイツも操られてるとか?」
「操られている感じには見えなかったがな。おそらくだが、オレたちに疑惑を持った理事長が、戦える駒としてわざわざ招聘したんだろう」
「このゲームにぴったりの優秀な駒で、理事長も大満足なんじゃないかしら」
「オレたちを捕らえるまでは満足しないだろう」
そう言って紅蓮は立ち上がると扉まで歩き、、廊下の様子を覗き見た。
「いないようだ。頼人探しに戻るとしよう」
花凛は頷いて、紅蓮についていった。今度は第2校舎の探索である。できればこの校舎に居てほしいと願うが、その望みは果たして叶うのだろうか。
第2校舎3階。慎重且つ迅速に教室に入り込み、手早く捜索をしていた花凛と紅蓮。遂に最後の教室を調べ終えて、次の行き先について思案し始めた。
「これでこの階は全部見たことになるけど、本当に影も形もないわね。思うんだけど、普通の教室には隠してないんじゃない? 理科室とか、図書室とか、そういう所を見ていった方が早い気がするわ」
「そういう場所こそ、安直すぎる気はするが……だが、あながち間違いではない気もするな」
「でしょ? じゃあ次はそこらへんを見ていくってことにしましょ」
「方針はそれで良いが、だとしたら第3校舎に行くことになる。此処からだと、少し遠い」
第3校舎に行くには一度1階に下りてから中庭を通って行くか、先程までいた第1校舎から直接行くかの2つのルートがある。第1校舎からは回り道になる上、戸張がまだ徘徊している可能性もあるので、選択肢は自然に消えていた。よって選択肢は1つに絞られるのだが、それでも危惧しなければならないことはあった。
「道中も気を付けなければならんが、それ以上に中庭が厄介だ。あそこはどの校舎からも丸見えだから、刺客の連中に見つかりやすい」
「だったら、見つからないように隠れながら行けばいいじゃない」
「校舎に囲まれた場所なんだぞ。どうやっても見つかる。見ていないことを祈って素早く抜けるしか方法はない」
「ふーん、結局は運次第ってかんじね。見つかっても何処かでやり過ごせばいいか。ホンットに、楽しいゲームだこと」
皮肉混じりに花凛は言った。紅蓮はそれを面白がることなく、険しい顔のまま返した。
「今どきのガキでさえ、これよりましな遊びを思いつくだろ」
花凛はそれを否定してやっても良かったが、口には出さなかった。頭の中にははっきりとあの妖怪の顔が浮かび上がっていた。それを思い出しただけで、頭が痛くなった。
鳳学園は県内でも有数の中高一貫校である。中等学校は人数は少ないものの、かなり優秀な生徒がそろっていて、かく言う御門杏樹もそこから進学してきた。彼らの学び舎は1つだが、高等学校と同じ敷地内にあるため、特別な授業に関しては高等学校の設備を利用している。
高等学校は3つの校舎に教室を置いている。各学年はAからFまでの6つのクラスからなり、そのアルファベット毎に校舎が分かれている。AとBは第3校舎、CとDは第2校舎、EとFは第1校舎、といった具合だ。そして第1校舎と第3校舎には通常の教室の他に、多様な設備が配置されている。
第1校舎は来客の対応のために、応接室や職員室、理事長室などが配置されている。第3校舎には特別な授業をするための教室が詰め込まれていて、生徒の出入りが最も激しい校舎である。その第3校舎に行くために、最も利用されるのが、各校舎に綺麗に囲まれている中庭だ。
普段は往来の役目しかない中庭だが、そのど真ん中には理事長と思わしき人物の銅像がでかでかと立っていて、自らの権力と地位を惜しげも無く披露している。
理事長の威厳を誇示するための像なのだが、洗脳によって支配された生徒たちには勿論、花凛たちもその銅像の存在を認識していないため、もはや何のために作られたのか分からない自己満足の鉄の塊でしかなかった。
そんな哀しみを背負う中庭を通るための、鉄製の扉の前に花凛と紅蓮は立っていた。
「あっさりここまで来れたから、中庭もそうであってほしいものね」
「逆だ。この先に刺客が待ち伏せている可能性もある」
「そしたら、戦って切り抜けるしかないね。出来れば、理を節約していきたいけど」
よっぽどの相手でないかぎり、理を使うことはないだろうと花凛は考えていた。戸張のような理を使う刺客がほいほいといるはずがない。はな婆でさえ理使いには片手で数えられるくらいの数としか出会っていないのに、こんな一介の学校に理使いがわらわらと集結する可能性を考慮するのは馬鹿馬鹿しいのだ。
「第3校舎まで一気に駆け抜ける。準備はいいな?」
「うん。いつでも大丈夫よ」
花凛がやる気に満ちた声で返事をすると、紅蓮は一呼吸置いてから一気に扉を開け放った。
紅蓮が先に中庭に入り込み、花凛も遅れずに続いた。紅蓮の後ろに付いていたのは最初だけで、すぐに花凛が先頭に踊り出た。
一瞬、目の前に立つ立派な銅像を敵影と見間違えたが、それでも怯むことなく、脇目もふらずに駆けていく。
何事もなく銅像まで辿り着いた。このまま第3校舎に滑り込めそうに思えた。しかし、そうは問屋が卸さない、というのが常である。花凛が銅像の横を通り過ぎようとした時、銅像の裏からジャージ姿の逞しい男が飛び出てきて、花凛の行く手を塞いだ。
衝突する寸前で踏みとどまった花凛は、後ずさりしながら身構えた。
「びっくりした……あんた、誰よ」
「俺は、先生だぞ。先生、先生、生活指導の、先生だぞ」
何のことはない、ただの洗脳された刺客なのだろうが、言葉の不気味さで花凛の顔は引きつった。
男の姿を改めて見てみると、手に竹刀が握られていることに気付いた。ゲームという免罪符を得て、体罰が解禁されるのは如何なものかと問いたかったが、操り人形に何を言っても無意味だ。
何はともかく強行突破といきたいところだが、武器持ち相手に理なしで戦うのは手間がかかる。花凛は少しだけ顔を横に向けて、後ろの様子を見た。紅蓮はもうすぐ追いつくようだったので、ここは2人で戦うべきだと判断した。
再び顔を前に戻すと、ジャージの男が虚ろな目で迫ってきていた。花凛は竹刀を持つ手を注視しながら、間合いに入らないぎりぎりの距離を維持しつつ退いた。
ジャージの男が業を煮やして攻撃してくれれば、それを躱して詰め寄ることも出来るのだが、竹刀を持つ手は一向に動かない。フェイントで間合いに一瞬入ってみても、全く動じなかった。攻撃の意思が薄いのか、それとも何か策でもあるのか、焦点の定まらない瞳からは読み取れなかったが、むやみに手を出せなかった。
しかし、程なくして紅蓮が追い付いてきたので、諸々の懸念は意味をなくした。速度を保ったまま、紅蓮がジャージの男に突っ込んでいく。男は竹刀を盾にして、紅蓮の突進の衝突を防いだ。紅蓮はそのまま肩で押し通そうとする。男は竹刀ではねのけようとする。
ぶつかりあったまま均衡状態を保つ2人、花凛にとっての攻め時である。咄嗟に駆け寄ると、紅蓮の背中を踏み台にして男の顔に膝蹴りを入れた。不安定な足場ながらも、急所への無慈悲な攻撃を決めた花凛は、綺麗に卒倒する男の腹部に着地し、無反応であることを確認してから、そっと降りた。
「えぐいことしやがる」
「体罰系教師なんだから、これくらいの反抗にも耐えられなくちゃいけないでしょ。要するに、落第点よ」
花凛は男を見下して、鼻息荒く言った。
思わぬ足止めを食らった2人は改めて第3校舎へ向かうべく、視線を目的地に移した。すると、視線の先に複数の人の姿が見えた。手遅れだったのか、増援が来てしまったようだ。
「やっば、もう来ちゃったよ。戸張は……いないみたいだけど」
「後ろを見てみろ」
紅蓮に言われるまま、第2校舎の方に目を向けた。そこには制服の男が1人、腰に光らせる物を携えて、ゆっくりと歩いてきていた。
「あー、最悪ね。これ、どうする?」
「予定通りだ。オレが引き受けよう。だからお前はそのまま第3校舎まで突っ走れ」
「分かった。それじゃあさっさと頼人見つけてくるから、それまで頑張ってね」
ウインクでエールを送ると、花凛は早々に第3校舎に走っていった。この状況で判断を遅らせることがゲームの終わりを迎える原因になる。そのため、花凛は遠慮なくこの場を紅蓮に任せた。
目的地の入り口にいる刺客たちは、花凛の侵入を妨げようとしているのか、扉の前で固まっていた。流石に理を使わざるを得ないかと、源石を取り出そうとした時、炎の柱が花凛を横切っていった。炎は凄まじい速さで刺客たちに襲いかかり、彼らを追い立てた。
振り返ると、紅蓮がジャージの男の竹刀を持って此方を見ていた。竹刀の先にはマッチように煌々と燃える火が灯っていた。
「ありがとね、紅蓮ちゃん」
花凛はそう呟くと、慌てふためく刺客たちを掻い潜り、第3校舎に入っていった。
パニックになりながらも、花凛を追おうとする刺客たちだったが、扉を炎が遮った。洗脳されているとはいえ、自ら危険に立ち向かう度胸は施されていないようだ。彼らは花凛を追うことを諦め、取り残された紅蓮に照準を定めた。
囮を買って出た紅蓮だが、負ける気は毛頭なかった。戦うからには全力で立ち向かい、叩き潰すぐらいの気概を持っていた。片腕が使えないとはいえ、理の威力には影響しない。それも自信に繋がっていた。
「さあ、楽しませてくれよ。理事長の犬ども!」
紅蓮は自らを鼓舞するように吼えた。
花凛は教室を駆け回った。刺客の襲来を心配することがないと判断し、一瞬も足を止めずに、片っ端から教室を見ていった。特別教室は広い上に、入り口から見ただけでは陰になる場所も多かったので、くまなく探す必要がある。そのため、1つの教室の探索に掛かる時間は通常の教室の倍は掛かった。
息も絶えだえになる頃には1階の捜索は終わった。体力を回復するため、足を止めた。
頼人の発見は急がねばならなかった。紅蓮がどこまで保つか分からない。もし、やられてしまったら戸張は間違いなくこの校舎に来る。万全の状態なら負けないと断言出来るほど、花凛は自惚れているが、手持ちの源石の乏しさが花凛を不安にさせていた。
花凛が使える理で、最も厚い信頼を置いている土の身体強化。この力は自分の身体能力を爆発的に向上させるものだ。花凛は元々、体は丈夫だし、力も強い。
だが、どう頑張っても性別の差は越えられず、並の男には殴り合いで勝てるが、先程のジャージの男や紅蓮のような鍛えられた男には力だけでは勝てない。それを軽く覆すことが出来る身体強化は、花凛にとって最高の力なのだ。しかし、この力にも欠点はある。それは効果時間だ。
1つの源石から理を取り出すとして、それを全て身体強化に充てても、今の花凛では60秒くらいしか効果を発揮できなかった。戦いが長引けば源石の消費が激しくなり、ストックも減っていく。長期戦を図られてしまうと、非常に不利な戦いを強いられるのだ。
現在、花凛の手持ちの源石は土の源石が3つだけ。他の属性があれば、誤魔化しながら戦えるのだが、嘆くだけ無駄である。だがこのストックで、戸張と戦うことは無謀とも言えた。
戸張の理は正体が掴めていない。唯一分かっているのは、鍵状の物を投げつけて、それが刺さると動かなくなってしまうことだが、それがかなり厄介だった。
投げるという攻撃手段で鍵の弾幕を張られると、近づくことさえ困難になってしまう。近接戦闘に持ち込めなければ身体強化の真髄を発揮することは出来ない。すなわち、徒に理を消耗するだけで、自滅してしまう可能性が高いのだ。
だからこそ、早く頼人を見つけ出さなければならない。頼人が持っているはずの理事長室の鍵がゲームを終わらせるまさにキーアイテムだが、それ以上に、花凛は頼人に期待をかけていた。
頼人の中で未だに燻っている特別な力。それが戸張に対抗できる唯一の手段だと思っていた。
その力が発揮されたのは、紅蓮との戦いと、オバケケヤキでの戦いだけである。しかもそれは両方とも偶発的に発揮されたもので、頼人はその力がどういう条件で使えるのか分かっていなかった。それにも関わらず、花凛は頼人の力を信じていた。確固たる根拠は持っていなかったが、今なら特別な力が使えると、そんな気がしていた。
息が少し落ち着いたところで、花凛は再び走りだした。階段を1段飛ばしで上がっていき、2階を駆けまわる。頼人の姿はまたしてもなかったが、嘆いてる間もなく次の階へ向かう。しかし、3階もまた徒労に終わると、いよいよ心臓の鼓動が激しくなった。
次が最後の階である。そこにいなかった場合を考えることはなかった。そこにいるのは当然で、さっさと頼人を叩き起こすことしか考えてなかった。
4階には図書室がある。今までの教室を遥かに凌ぐ広さを有しており、相手側からすれば、隠すのには絶好の場所と言えよう。しかも、最上階に設置されているのだから、時間稼ぎには持ってこいの教室なのだ。
早速、花凛は図書室に入った。ずらりと並ぶ書架のおかげで、一目では部屋の中の半分も見渡すことが出来なかった。
カウンターを抜けて、書架の間を見逃しのないよう、歩いて通って行った。左右をしっかり確認しながら、目的の人物を探す。案の定、最奥までに見つからなかった。嫌な予感が少しだけ芽生えたが、躊躇っている時間はなかった。
最後の書架を抜けて、まずは右を確認する。いない。すぐさま左を見る。いた。花凛は安堵の溜息を吐いた。
頼人は書架にもたれて、だらしない格好で眠っていた。拘束されていなかったので、起こせばそれで済むようだったが、頼人の頭の上の棚に貼ってある1枚の紙が何かを示していた。
――眠れる王子様を起こすには、分かっているだろう?――
花凛は鼻で笑うと、それを引き剥がして、丸めて放り投げた。そして、頼人の間抜け面に顔を近づけていき、寸前のところで止めた。
花凛も目を閉じた。覚悟が出来たところで、頭を少し後ろに傾けた後、一気に迫った。
鈍い音が2人の額に響いた。頼人は呻くような声を上げて、目を覚ました。
「いってえ……なんなんだよ、もう……」
目と額を交互に擦りながら、頼人は言った。
「痛いのはお互い様よ。それもこれも、理事長のせいなんだから」
全ての責任を理事長に押し付けてしまうくらいに、花凛は怒っていた。おそらく、理事長は頼人をキスで目覚めさせようとしたのだろう。まさか学園の最高責任者ともあろうお方が、自ら不純異性交遊を勧めてくるとは思いもしなかった。結果としては頬を赤く染めるのではなく、額を赤く腫れさせることで解決したが。
「理事長? ちょっと待て、此処はどこだ? 何が起きたんだ?」
事態を把握していない頼人に花凛は掻い摘んで事情を話した。寝ぼけ眼だった頼人も、話を聞く内に瞼が軽くなっていったようだ。
「そうだったのか。今朝、教室に行く途中までは記憶があるんだけど、その時に捕まっちゃったんだろうな。それで、紅蓮はどうしたんだ?」
「あいつは今、中庭で戸張と戦ってる。だけど、勝てそうにないの。頼人、助けに行ってあげて」
「やっぱり、戸張くんの理は強力なんだ。俺が力になれるか分からないけど、行くよ……って、持ち物がない!」
周囲を見渡しても。頼人の鞄はなかった。当たり前だが、理事長にすべて没収されていたのだ。
「これじゃあ、戦えない。花凛、石を……」
「ダメ。石なしで戦いなさい」
「石なしで? まさか……あれを使えっていうのか」
「うん」
非情な宣告に頼人は動揺した。上手く言い返す言葉が見つからないのか、口を上下させているばかりだった。花凛は頼人を落ち着かせようと、頬をつねって固定し、目を見つめた。
「いい? 今のまま石に頼りっぱなしだったら、いつまで経ってもあの力は使えないこなせないわよ? あたしを助けた時のこと、思い出しなさい。あの時、頼人は何の力もなかった。でも、頼人が戦おうって思ったから、あの力が発現したのよ。気持ちを強く持てば、出来る。出来るのよ」
花凛は真剣な眼差しで訴えた。頬を放し、頼人からの返事を待った。頼人は困ったような表情で目を伏せていたが、しばらくすると顔を上げて、覚悟を決めた表情に切り替わっていた。
「分かった。やってみる」
その言葉を聞いて、固かった花凛の顔が和らいだ。
「よし、良い返事ね」
花凛は立ち上がって、頼人に手を差し伸べた。頼人がそれを掴むと、力いっぱい握りしめて、引き上げた。
「じゃあ、行ってくる。花凛も早く、理事長室に行ってくれよ」
そう言って頼人は走って出口に向かっていった。それを見送る花凛だったが、自分にも役目があることをすっかり忘れていた。それに気付いたのは頼人が図書室から出ようとした時だった。
「あっ、頼人待って!」
急いで追いかけていき、図書室を出ると、頼人は階段まで行っていた。大声を出して頼人を呼び止めて、花凛は駆け寄っていった。
「どうした? 何か忘れ物でもあったか?」
「その通り……バンザイして」
言われるままに頼人が両手を大きく上げると、花凛は頼人の体を弄り始めた。
「ちょっ、くすぐったいって!」
「大人しくしてなさい、すぐに終わるから……うん、あったあった」
ブレザーの内ポケットに目当ての鍵が入っていた。これで理事長室に入れるはずだ。
「あたしもこの下らないお遊びを終わらせに行ってくるから、それまでにはケリつけときなさい。もしあたしの方が早かったら、購買のプリンおごってもらうからね」
「えっ、それはずるいだろ。だったら俺の方が先に終わっても……」
花凛は頼人の背中を軽く叩くと、階段を飛び降りて先に行ってしまった。戸惑う頼人だったが、遅れまいと早足で階段を下りていく。背中に残る温もりが、まだ不安の残る頼人を勇気づけてくれているようだった。
花凛が目指す理事長室は第1校舎の2階にある。第3校舎から行くには3階の渡り廊下を通って行くのが最も早い。校内を駆け回って、最も幸いに感じたことは施設の情報や位置が記憶に残っていることだった。おかげで足を迷わすことなく、花凛は第1校舎に突入することが出来た。
第1校舎も第3校舎と同様に、もぬけの殻のように思われた。仮に誰かがいたとしても、ゴールまではあと少しのため、理の出し惜しみをする気はなかった。
渡り廊下から続く、長い直線をただ前だけを見て走る。そして廊下の真ん中に位置する階段を速やかに降りて行き、遂に理事長室のある2階に到着した。
最後の段から跳んで、廊下に着陸した花凛。理事長室のある路に顔を向けた。おもわず「うっ」と声が出た。
そこには理事長室を守る1人の門番がいた。腕を組み、仁王立ちで、自信に満ち溢れた顔をした女子生徒だ。
その様子だけ見れば、杏樹と錯覚してもおかしくなかったが、髪と体格が大きく異なっていた。彼女は髪の長さは肩までしかないし、そもそも東洋人の髪色だった。体も杏樹のようにすらりと伸びたモデル体型とは違い、こぢんまりした体で、小学生が制服を着ているかのように見えた。
子供を虐めるようで気乗りはしないが、全てを終わらせるためには彼女を無力化しなければならない。理を使うまでもないだろうと判断し、女子生徒に近付いてから適当にあしらおうと考えた。
花凛はゆっくりと近づいていく。女子生徒はそれを黙って見ていたが、声を張らずとも会話が出来る距離まで来ると、不敵な笑みを浮かべて口を開いた。
「よくここまで来ましたね、獅子川花凛さん。せっかく用意した刺客たちも、それほど役に立たなかったみたい」
花凛は足を止めた。今までの刺客たちとは違い、流暢に喋る様が気にかかった。
「しかし、あなたの歩みもここで終わり。私が最後の刺客として、学園の正義の下に再教育させていただきます」
「ごちゃごちゃとうるさい女の子ね。キミも理事長に洗脳されてるだけなんだから、ゾンビみたいなうわ言だけ言ってればいいのよ。やっつけなきゃいけないこっちの身にもなってよね」
花凛はそう言うと、女子生徒を取り押さえようと一気に詰め寄った。
女子生徒は組んでいた手を解き、花凛に手を翳した。すると、手のひらから強烈な突風が吹き、花凛は後方へ押し戻されてしまった。
「私をそこらのインスタントな刺客と同等に捉えられては困ります。あなたたちがそうであるように、私も使えるんですよ、理が」
女子生徒は片方の手に隠していた風の源石を見せびらかした。
「まさか、まだ理が使えるヤツがいたなんて……あんた、いったい何者よ」
「私が何者か、ですか。本来ならば、その名を学園で知らない人間はいないであろう立ち位置にいるのですが、仕方ありません。私は鳳学園高等部第44期生徒会会長、
それは花凛の求める答えと一致しない返答だったが、驚愕するには充分な自己紹介だった。
「ええ?! 生徒会長ってウソでしょ? ていうか本当に高校生なの? 中学生かと思ったわ」
「むっ、失礼な。私はしっかり高校生です。しかも、あなたたちの先輩なんですから、ちゃんと敬語を使ってください」
追い打ちのように驚愕の事実を述べられた。花凛は目を丸くして、変な声を出した。
「ほえー、マジで? 先輩だったの。いやあ、可愛らしい先輩だ。どしたらそんなちんまいまんま年を取れるのよ。ちゃんと牛乳飲んでた? 毎日3食きっちり食べてる? 好き嫌いしてない? 早寝早起き心がけてる? ああ生徒会長になってるくらいだから、生活習慣は正しいか。じゃあ、遺伝か……ホント、親ってロクなもん子供に背負わせないよね。カワイソ」
煽っているつもりはなかったが、口から湯水のようにおちょくる言葉が出てきた。伏水はさっきまでの余裕溢れる表情が強張り、肩を震わせていた。
「言い過ぎです! 少しはオブラートに包んだらどうですか! さらっと親のことまで持ちだして、最低です! 許さない、絶対に再教育してやる!」
伏水の手からまた、突風が吹いた。完全に油断していた花凛は風に流され、無様に転がりながら大きく後退していった。
伏水は風の源石と入れ替わりに、火の源石を持ち、手を床に着けた。一瞬、床が赤くなったがすぐに治まった。それだけしか起こっていないのだが、火の源石をしまい、今度は水の源石を持って、同じように床の色を一瞬青色に変化させた。
風が止み、自由になったところで、花凛は体勢を立て直した。伏水が怪しげな行動をしていたが、それに夢中になっていて隙だらけのように見えた。ストーンホルダーに手を突っ込み、石の力を目一杯取り入れると、猪のように突進していった。
軽快な足取りで向かっていくが、その途中で目の前に大きな水柱が吹き上がった。轟々と湧き上がる水だったが、今の花凛を止めるには勢いが足りなかった。躊躇いなく水柱に飛び込み、体をびしょ濡れにさせただけで難なく突破した。
伏水は漸く迫ってくる花凛に目を遣り、風の源石を再び取り出して、強風で押し返そうとした。だが、それでも花凛の猛進を止めるには至らない。体を湿らせていた水分だけが置き去りにされ、花凛は目を細めながら進む。若干スピードは落ちていたが、それでも、身体強化の効果が持続している間に伏水を倒せるまでの時間の余裕はあるようだった。
侵攻を止められない伏水だったが、その顔には焦りもなく、しかも対策を取ろうと理を使う素振りも見せなかった。その顔にはただ、花凛の無礼な態度への怒りしか記されていなかった。
花凛にそれを訝しがる暇はなかった。風もとうとう収まり、進路を妨害するものは何もなかった。スピードは最高点に達し、それを維持したまま伏水にタックルをかまそうと考えた。姿勢を低くし、棒立ちの伏水にぶつかる体勢を取る。目前に来た時、花凛は床を踏みしめて飛び込もうとした。その時である。
踏み込んだ床に異変が生じた。一瞬赤くなったかと思うと、そこから猛烈な勢いで炎が立ち上がり、花凛の身を包んだ。
容赦なく襲い掛かる炎に花凛は反射的に身を引き、炎から脱した。しかし、花凛の制服には火が燃え移ってしまい、凄まじい速さで燃え広がっていった。手で叩いても、火はまったく衰えず、熱が襲うばかりだった。どうする手立てもないように思えたが、後方ではまだ水柱が勢いを保って沸き上がっていた。
熱による痛みを堪えながら、素早く水柱に飛び込んだ。火が消えたのかを確かめる術がないので、水の中で身を潜めていたが、しばらくすると水柱は勢いを失い、水溜りを残して消えていった。
花凛は膝をついて崩れた。息が出来ていなかったことを思い出し、荒い呼吸をしていた。そして自分の体が無事であることを確認すると、遠のいてしまった伏水に顔を向けた。
「単純に攻め込むタイプで良かったです。あなたは私に勝てませんよ、絶対に」
怒りを表情に残したまま、伏水は口角を上げた。そしてまた、源石を持っては床に細工を仕掛けていた。
「なるほど……罠を仕掛けていたのね……」
まだ息が落ち着かないが、根性で立ち上がった。
花凛の中にあった理は切れてしまった。残りの源石は2つ。妨害をして疲弊させようと目論む伏水に勝つ手段。このまま無策で突っ込むのは伏水の思う壺だ。
打開する方法を考えていると、ある1つのことを思い出した。それははな婆から教わった、とっておきの技だった。
頼人が中庭に着いた時、真っ先に目に写ったのが点々と倒れる教師たちだった。彼らは目立った外傷はなかったが、衣服の端々が焦げて黒ずんでいた。その教師たちを追っていくと、中庭の中央に鎮座する理事長の銅像に着いた。
この銅像の足下には、数多の金属棒が突き刺さっている大男が倒れていた。そして、その大男の前に、手のひらで小さな鍵を弄んでいる男子生徒がいた。
頼人は駆け足で2人に近づくと、それに気付いた男子生徒が顔を頼人に向けた。
「来たんだ。もう終わったけど」
男子生徒は素っ気なく言った。
「戸張くん……まさか本当に敵だったなんて」
「……まさか? まさか、か……人を見る目がないんじゃない?」
男子生徒、戸張和巳は少し驚きの見える反応をした。
「まあ、いいか。それで、見ての通り大田島紅蓮は洗脳待ちにまでしたんだけど、君もそうなりに来たの?」
頼人は紅蓮に視線を向けた。見るも無残な有り様だ。体の至るところから、額にまで戸張の鍵が刺さっているのだが、これでも紅蓮は生きているらしい。戸張の理が動きを止めることは花凛から聞いていた。自分で直に見ても、それがどういった原理で発揮されているのか、見当が付かなかった。
「俺は戸張くんを止めるために来た。だから、戦わずに済むならそれが一番だと思ってる」
「無理。僕も一応、理事長さんに雇われてるから、君たちを捕らえないと怒られる」
「そうか……駄目かあ」
落胆して肩を落とす頼人を、戸張は鍵をこねくり回しながらじっと見ていた。
その視線を不思議に感じた頼人は、疑問符が見える表情で見返した。すると戸張は鼻で笑い、鍵を懐にしまって、腰の鍵束に手を伸ばした。
「君も理を使うみたいだけど、理源はどこにあるの?」
「理源? ああ、源石のことか。それなら、今は持ってない。持ってないけど、俺の中にある力を使う」
「『パーソナル』を使うってこと?」
「パーソナル? なんだそれ」
聞いたことのない言葉に頼人は食いついた。戸張も頼人の反応には困惑を示した。
「知らない? 知らないのに使おうとするのか。よく知りもしない力で僕に勝てると思ってるの?」
「確かに、全然使いこなせてない力だけど、これを使って戦うしかないんだ」
「へえ……」
戸張は頼人の顔を見ながら、顎を擦っていた。そして、決心したのか鍵束から鍵を1つ取り外し、お手玉のようにして遊ばせて、こう言った。
「どう考えたって、これは弱い者苛めにしかならない。それじゃ僕のプライドに傷がつくだけだ。だから、今からレッスンをしてあげよう。その後に本気で戦おうか」
「え……こっちとしてはありがたいけど……」
「じゃあ決まりだ。君にはじっくり教えてあげる。『パーソナル』とはどんな力なのか」
予期せぬ事態になってきたが、頼人は戸惑いながらも喜んだ。自分の力の正体が遂に全容を明かすと考えると、興奮せずにはいられなかった。
戸張の思惑はどういったものなのか、それを頼人は少しも気にしていなかった。頼人の無警戒ぶりはまだ、戸張が完全な悪ではないと信じているからこそである。そんなお人好しで甘い頼人が、この事態に持ち込んでいったと言っても過言ではないのだが。
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