第11話 暗い刀

触れた瞬間テレビの画面を切ったかのように目の前が真っ暗になった、そしてだんだんと視界が戻ってきた、そこは、空が曇っていて雨がポツポツと降り、目の前には小さな家が建っていた、そこには一人の女性がいた、髪は黒く後ろで短くまとめている、着物の袖をまくり何かを洗っている、私は気になって見に行った

「こんにちは」

その人の顔を見たとき私は驚きを隠せなかった、顔には目も口も鼻も何もなかった

「どちらさまですか?」

だがその人は目が見えないとは思えないくらいはきり私を見ていた、私がその人の顔を見ることができていないのではないかと錯覚するほどだった、雨はさらに強くなって私の体に強く打ちつける

「雨が強くなってきたので中に入ってください」

私の目を見て言い歩き出した、私もその人の後ろについてゆく、ふと後ろを振り返るとそこは”あの花畑”だった

「早くしないと津波が来ますよ」

かなり分厚い扉を片手で開けて雨が降りしきる中私を待っている、私は小走りで中に入った、彼女も急いで中に入って扉を閉めた

「ついて来てください」

外見はちいさな家だったが中に入るとそれは大きな間違いだと気づかされた、中は地下につながる大きな階段の入り口だった、入り口からは強い風が吹き替えして大きな音を立てている、私は一歩ずつ力一杯歩いて行く

「ここに来る人はあなたが初めてですよ」

彼は笑いながら普通の階段を下りるかのようにスタスタ降りていく、私だけ強い風が吹いているみたいだった、階段の壁には火が灯されていてちゃんと奥まで見える

「あともう少しです」

私はこの世界に来るのは初めてだった、でも阿修羅さんから教えて貰った“鍵を探せ”と私は立ち止まらず階段をどんどん降りていく、風は下りるたびに弱くなって地下に着く頃には風を感じない程だった、そして地下はとても広かった、彼女はどんどん進んでいく、私は彼女を追う事をやめて中を探索し始めた、そして何もない小さな部屋に着いた私はその中に入って瞑想を始めた、目を閉じ呼吸だけに意識を集中させた、ここは現実でも空想でもない世界だと知っているから、三人に念で会話を試みた、だが反応がない、諦めて目を再び開けると腰には蝕月が帯刀されていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る