第6話 立ち直り

戦いが終わって数日が経つ、心さんはこの辺りの復興を仲間達と一緒にしていた、街は活気を取り戻しつつあって、妲己さんもかなり回復していて。初めて会った時よりもたくましくなっている、本当にあのとき間にあってよかった、

「お二人のおかげです風さん、紫狐さん」

この二人には感謝しても仕切れない。

「いいえ」

「とんでもない」

私達は確実に強くなれた、だがあの攻撃を防ぐことができるとは思わなかった。まさかあんなことができるなんて

「神酒殿、あの時なにをしたんですか?」

私の目を見てなにかを感じ取ったらしい

「ばれましたか?」

紫狐さんも心配してくれている

「ちゃんと話してください」

こういう時の視線が一番辛い

「私の心刃は“妖刀”です」

その瞬間辺りが凍った、周りの人たちも驚いてこっちを見る視線が突き刺さる、呼吸が苦しいだが、二人は違った。

「嬉しいです」

「同感だ」

やっぱり二人が大好きだ。

「あの時私は光を侵しました」

すっきりした、まるで曇っていた空が快晴になったように。

「ほら出ておいで」

心刃を出して二人に見せた。

「名を蝕月と申す」

禍々しい気勢とは裏腹に誠実で静かな男性だ、頭には傘を被っていて黒い衣きている、二人も慌てて挨拶をしていた、いつの間にか人に囲まれていた、視線が先ほどより強く、針のように心に刺さってくる。

「蝕月大丈夫?」

蝕月は私の心そのもの

「うむ」

痛かったら蝕月も痛い、

「神酒殿行こう」

人混みをかき分けて私達は四人で心さんに挨拶に行くことにした。居場所がわからないので聞き込みがてら街を散策することになった。

「この街ってとっても綺麗ですね」

まじまじと見るのはこれが初めてだった。

「いろんなお店があって一日じゃ足りません、せめて一週間は欲しいです!」

紫狐さん私達の中で一番ウキウキしていた。

「空気が美味しくて気持ちがいいな」

両手を頭上で組みながら風さんは深呼吸をしていた。

「さあ、情報集めますか!」

明日もっとゆっくりみんなで見よう、まず私たちは道具屋と言う刀をメンテナンスする道具を売っているお店に入った。

「すいません」

私は念でしゃべることしかできないので代わりに紫狐さんに頼むことにした「はいよ」

背の低いおじいさんだった

「黒いフードの人を見かけませんでしたか?」

おじさんは紫狐さんではなく私を見ていた

「嬢ちゃんあんた声出せないだろ」

驚いた

「はい」

念で返した

「おお、すごいな」

風さんと蝕月はいつでも戦闘できるように構えていた、

「申し遅れたわしの名は“鋼治”じゃ、フードの男はさっきあの“水の木”に向かったぞ」

もう私は見られていなかったが、意識だけ向けられていた、店内で少し買い物を済ませて出て行こうとした時、

「嬢ちゃんあんたにはこれをやる」

そう言って小さなお守りをくれた、小さな包みに何かの牙が入っていた

「なんですかこれ?」

念で返事をした

「これは必ずお前の力になるとは限らない」

理解するには時間が掛かるそう感じた、鋼治さんは見えなくなるまで手を振ってくれた、私達も少し振って水の木に向かう。

「何かおかしかったあの人」

と風さんも何か感じていたらしい

「そうですね、紫狐さんはどう思いますか?」

紫狐さんだけ何も違和感を感じていなかった。

「あの人も喋っていませんでしたよ」

あんなことができたのか

「神酒さんもきっとできますよ!」

まるで自分の事みたいに喜んだ顔をしている紫狐さんを見ると私も嬉しい。

「はい、頑張ります!」

にわかには信じがたいが、私の小さな希望になった。

「さあそろそろ着きますよ」

風さんは眉間に皺を寄せて、心配そうな顔をしていた。

「私も素直に話すので一緒に許してもらいましょう」

その時風さんの顔は春風のように優しく暖かかった。

「辱い」

不意に私は蝕月の変化を感じた

「もう少しで仲間に会えるね」

そう、蝕月は初めての同族に会える

「初めての仲間だから怖いな」

少し笑いながら言っていた。

周りにはお店もなく、ただそこには水のように透けている大きな木があった

「よく見たらこの木“鏡ですね」

私達が綺麗に映っている

「綺麗だな」

そう言いながら後ろから心さんの気配がする。

「神酒、お前の心刃」

やっぱりわかりますよね

「妖刀です」

そう念じた瞬間少しだけ驚いていた。

「そんなことできるんだな」

そういえば、直接心さんに念じるのはこれが初めてか、

「声が出せないので」

これは私の”武器“なんだ、そう考えていると心さんの後ろに蝕月に似た刀さんがいた。

「俺の心刃、妖刀”阿修羅“だ」

自己紹介のつかの間、蝕月は初めての仲間を見たのでかなり驚いていた

「私の名は蝕月と申す」

阿修羅さんも返事をしていた、二人は握手を交わして私達と火を囲んだ、

「風、二人で話そう」

そう言って風さんと心さんは二人で火を囲んだ、私は先に心さんには挨拶を済ませた、ここからは踏み入っちゃいけないと思ったから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る